手塚さんの指示によって全員のロッジが決まった。
一人また一人と荷物を置きに行く中、四天宝寺の謙也さんだけが動く気配が無い。体調でも悪いのかと思ったが先ほどまで元気にしていたのだからそれはない…気がする。
いつまでも動く気配の無い謙也さんに四天宝寺の皆さんも呆れているようだ。

「…あの、大丈夫ですか?」
「おお、小日向さん。ただの謙也のワガママやから気にせんでええで」

声を掛ければ白石さんがただのワガママと言うことを教えてくれた。
ワガママにしても、先ほどのやりとりで此処まで落ち込むこと事など有っただろうか?

「千歳と別…」

疑問に思っているとボソッと謙也さんが呟いた。

(千歳さんがどうしたのかな?)

その言葉を聞いて、千歳さんは苦笑して白石さんは本気で呆れた顔をしている。

「あんな、手塚くんが決めたんやから文句言うなや」
「せやけど、千歳が何で白石と一緒なんや…!あかん、千歳が白石に襲われてまう…!!」
「…謙也、妄想もええ加減にせぇよ」

白石さんが、笑顔で謙也さんの頭を叩く。とても良い音がした。

(あれは絶対痛い…!)

白石さんに叩かれた頭を抑えながら謙也さんが項垂れる。

「だってなあ…」
「だってもさってもありません。いい加減置いてくで?」

置いていくと謂う言葉にピクリと反応して頭を上げる謙也さん。眉が垂れてて、男の子に言うのは失礼かもしれないが凄く可愛い。
可愛いなあと思いながらそのやり取りを傍観していたら、同じく傍観して居た千歳さんが、謙也さんに近付く。
謙也さんの頭を撫でて「痛いの痛いの飛んでいけー」と笑顔でやっている。
それから謙也さんの前で前屈みになって、しっかり視線を合わせて話し出す。

「痛いの飛んでったと?」
「…痛いのは飛んでったけどやっぱ千歳と同じ部屋が良かったわ」

再度小さく呟く謙也さんの声に千歳さんは微笑みながら頭を撫でていた。もう痛いのはなくなったんじゃなかったのかな?

「俺も謙也と一緒がよかったばい。ばってんもう決まったこつやけん諦めなっせ。…夜は泊まり行くけん、そんでよか?」
「…!ほんまやな千歳…!」
「約束するたい」

何やら泊まりの約束を取り付けたらしく、楽しそうに二人で指切りを交わしている。指切りを交わしている二人を横目に今まで越前くんところで騒いでいた遠山くんが、戻ってきた。

「なんや千歳泊まり来んのー?」

泊まりのところだけしっかり聞こえたらしい。

「金ちゃんたちのとこお邪魔するけん、たのんまっせ」
「…はあ。俺は知らへんからな」

千歳さんが笑顔で遠山くんに話し掛けてるその横で白石さんが溜め息を吐き責任放棄していた。

「ええー!白石も一緒に来ればええやん!お泊まりみたいで、ワイメッチャ楽しみやでー!」

どんなやり取りがあったか知らない遠山くんは無邪気に白石さんをお泊まりに誘ってる。
白石さんは呆れた笑みを浮かべながら遠山くんの頭を撫で、「しゃーないから皆で寝るかあ」と言っていた。

話が決まったら動くのは早く、ワイワイ騒ぎながらロッジに向かう皆さん。誰が一番早く着くか競争してるみたいです。
一時はどうなるかと思いましたが、四天宝寺の皆さんは凄く仲が良いみたいでどうにかなりました。皆さんの後ろ姿を見送って私も荷物を置きに管理小屋へ行くのでした。


( あれ?ところで謙也さんは何であんなに千歳さんに執着してたんだろ… )



変な連載初めてすみません…!女の子といる謙ちと想像したら可愛くてしょうがなくて…!しかし謙也のキャラが崩壊し過ぎました、すみません。そしてよくわかんなくてごめんなさい
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