この痛みすら愛しくて

シャワーから出てベッドルームへ向かえば、キングサイズよりも大きなベッドに血の海が広がっていた。鮮血は小さなベッド脇のライトに照らされ、その中に原型を止めないほど細切れにされた肉塊が散らばっている。そしてその傍らには、俺の最愛の恋人が立っていた。

俺はその恋人の姿を目に映し、にんまりと口が歪む。

「あーあ、ぐちゃぐちゃじゃないか」
「ナマエ……」

俺の名を呻くように呟き、殺気を感じるほど睨んでくる恋人。流石、王下七武海。怖いどころかその視線だけで殺されてしまいそうだ。それでも俺の口が笑みを象ることはやめないが。

ざくりと肩が切られる。
痛みに一瞬、笑みが崩れる。
俺を切った張本人は、俺よりも辛そうに顔を歪めている。

「ナマエ、何度目だ?」
「さあ……数えてないからなぁ」
「オレの何が不満だ」
「いいや?不満なんてないさ」
「なら、」

どうして、と小さく口が動いたのが見えた。あぁ、あぁ、今にも泣き出しそうに顔を歪ませちゃって。
普段の彼からは想像もできない、俺だけが知る姿。俺にしか、見せない姿。
感じるのは優越感と、愛おしさ。

「ドフィ」
「……もう、浮気なんてするんじゃねぇ」

何も言わず、返事の代わりに抱きしめた。切られた肩は痛んだが、この程度構いやしない。
あぁ、可愛い可愛い俺のドフィ。
そうして俺だけに囚われていてくれ。
俺はとっくにお前に全て、囚われているから。







ドフィ誕生祝い(になってない)。


タイトルお題:確かに恋だった 様より拝借

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