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金→銀


「おーい、シルバーちょっと待てって」
「…なんでお前ついて来るんだ」
「行き先一緒だろ?ついでじゃんか」

こんな会話がずっと続いている。
そんなに頑なに拒絶するのは恥ずかしいのか嫌なのか知んねぇけど、結構傷つくんだな、これ。めげないけど。
ホウエン地方来たの初めてなくせに、観光も何もせずシルバーはずんずん進んでいく。

キョロキョロしながら歩く俺とは正反対で気を抜くと置いていかれそうだが距離が開くとシルバー振り向く。
ほんっとお前さあ。思わずにやりとしたらしい俺の顔を見てふい、っと前を向いてしまった。

「おい、お前の図鑑見せろ」
「ん?ほら」

草むらから見える黒いポケモンに興味を持ったのか自分のと俺の図鑑を見比べる。微妙に乗ってることが違ぇんだよな、さすがハイテク機器。

なんだかなあ。いや、別にいいんだけどよ。シルバーが俺の名前を呼んだことなんて数えるほどもねえんじゃねーか?という疑問を唐突に思った。
いつも、『おい』とか『お前』とか。
俺だってあんま本名で呼ばないけどシルバーは別だ。だからシルバーにも名前で呼んでほしい…つか、なんて乙女思考だ自分で気持ち悪くなった。

「ほら、…おい、ゴールド!」
「あ、ああ…え?」

図鑑を投げ返された。
投げたことよりも名前を呼んだことに何か言いたかったが半端なく恥ずかしくなって何も言えなかった。


(名前を呼ばないで)

不覚にもときめいちまった。
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