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※召喚!



「な、スコール。なんかさあ」

座っていた俺の隣に、これまた座っているジタンの目線の先には先程から手合わせをしているのだろう、ザックスとクラウドがお互いの大剣が触れるたびに火花を散らしながら宙に舞っていた。
ジタンはそのまま押し黙る。気になった俺は続きを待つようにジタンを見る。

「あの二人、似てるよなあ」

あの二人、というのはザックスとクラウドのことだろう。彼らは共に同じ世界で同じ組織の先輩後輩のような関係だと言っていた。宿敵であるセフィロスでさえも同じ組織で元仲間だとどこか悲しそうにザックスが言っていたのを思い出した。

「似ている…か?」
「うん、似てる」

ジタンが言わんとしているのはわかる。性格じゃない。さりげない仕草やふとした言動が似ているのだ。
性格が正反対な二人だから、言い方とかが似ているわけではなく根本的な何かが一緒だと感じることがある。
違う言い方で同じことを言っている。そんな感じ。
気にかけなくとも気づくそれははたから見たら微笑ましいものでもあるのだろう。二人を見るセシルの目が優しかったりする。セシルはいつも優しい目をしているが。
でも一番明確に似ているのは。

「…戦い方」
「そうなんだよなー、同じような武器使ってるからどことなく似てるのはわかるんだけどさ」
「二人は体格も違う」
「うん。クラウドの戦い方はザックスを真似したんだな、多分」

クラウドのザックスへの信頼は相当なものだ。そして慕ってもいた。彼の前では純粋な笑顔を浮かべるのも多々あった(あのクラウドが)。
彼らを見つめるジタンの目は−本人が気づいているのかいないのか−羨望の色をしていた。

「ほら、えーと、なんだっけ、凶斬りとか?」

ジタンが言ったと同時にクラウドの凶斬りに似たザックスの技が決まる。彼は連続剣だと言っていたが。
それをかろうじて受け止めたクラウドが吹っ飛ばされた。こっちに向かって。

「…な、」
「うわっ!」
「くっ…」

俺とジタンが素早く後ろに飛びのいて、クラウドが俺たちの目の前にかろうじて着地した。
大きな剣を持っていると反動も大きいのだろう、クラウドは力が抜けたように地面に突き刺した大剣に寄り掛かった。

「おーい、クラウド…と、スコールとジタンも大丈夫かー」

ザックスがこっちに走ってくる。ジタンが大声で大丈夫ーと叫んだ。そんなに大声じゃなくても聞こえると思うぞ。

「よし、ちょっと休憩するか」
「ああ」

ザックスがクラウドの頭をぽんぽんと叩く。そしてジタンの目線に気づいたのかザックスはジタンに話し掛けた。

「あとでジタンも手合わせやるか?」
「いいのか?」

ジタンはちらとクラウドを見る。

「俺はこれから夕飯の準備だ。してもらえ、ジタン」
「おう!じゃあよろしく!」

先程から二人を見るジタンの目に羨望が含まれていたのは気づいていたが、もしかしたらこの二人の関係がうらやましかったのだろうか。気のいい兄貴分なザックスと、彼を慕うクラウド。
どうやら俺も知らぬ間に二人に目を奪われていたらしい。

「スコールもやるか?」
「…え、いや、俺は…」
「よし、二人まとめてかかってこい!」

ジタンと共にザックスに抱き込まれて頭をくしゃくしゃにされる。
ザックスが笑いながら、ジタンが「なめんなー」とどこか嬉しそうに、クラウドが笑顔を浮かべて、なんだか照れ臭い雰囲気だった。

クラウドがザックスを慕うわけが、わかった気がした。




(110611)
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