Main

Start++


おいおいおい、これはどういうこった。

目の前の状況に自分の目を疑った。
家に帰ってきた…のは覚えている。
しかし何故こうなったのかはまったく覚えていない。
自分の腕の中で息子が小さな寝息を立てながら眠っていた。
こうして見ると余計幼く見えんな。
いやそんなことを考えてる場合じゃない。
問題はその息子が全裸だということだ。
一応毛布は被っているが、息子…ティーダの膝が見えて、下も着ていないのは明らかだ。

…覚えてない。
まったくもって覚えていない自分の頭を殴りたくなった。

まさか勢いにまかせて自分の息子を襲ったりしてないだろうな…いや、ジェクト様に限ってそんなことは……ないとは言い切れなかった。

「…ん、」

ティーダが寝返りを打ってこちらに体を向けた。

さらりとした髪の感触と甘い匂いがした気がして不覚にもムラっときた。
俺様もまだ男だな。
目の前にあるティーダの体は綺麗だがまったくもって記憶がないこの状態では襲ったとも限らない。
もしくは、途中で自分が寝てしまったか。
そうでなければティーダが服を着ていない理由が見つからない。
冷や汗をかきながら必死に寝起きの頭で考えていたがだんだん頭が痛くなってきた。

「……親父?」
「…っ、お、おう」

いつのまにかティーダは起きていたようで、海の色をした大きい瞳を眠そうにしながら俺を見ていた。
何回か瞬きをした後、お腹空いた、と小さく呟いてティーダは体を起こした。
こうなりゃ、直接聞くのが一番だ。
癇癪起こされるのも怒られるのも泣かれるのも覚悟しよう。心の中で決意しながら同じように体を起こした。

まだ寝ぼけているらしいティーダの両肩を掴んで真っ直ぐ目を見た。

「おい、正直に答えろよ」
「…え、なんだよ…?」
「俺、お前に何かしたか?」
「はあ?」
「記憶がねぇんだ。お前服着てねぇし、…俺に何かされたか?」

一瞬キョトンとしたあと、ティーダは目を見開いて顔を赤く染めた。
…え、まじか?

「ななな何言ってんだあんた!」
「なんてこった、俺様としたことが…最初はちゃんと…」
「違うっつーの!何もされてないし、なんでそんなことになるんだよばか!」
「じゃあ何でおめー、服着てねぇんだ」
「それはあんたが…」
「やっぱ俺様がなんかしたのか」
「違う!俺風呂上がりで、でも服忘れてそれで部屋いたらあんたがいて、…あれ、タオルどこいったんだろう。…一応、俺なんもされてないから!」

つまりは俺はまだ何もしてなかったらしい。はやとちりだった。でも勘違いしてもしょうがない状況だったしな。

今更恥ずかしくなったのかティーダは毛布で自分の体を隠した。

「…俺着替えるから出てけよ」
「なんで恥ずかしがんだよ、男同士だろ」
「うっさい!男同士だろうが何だろうが、ここ俺の部屋なんだから出てけ!」
「んなこと言ってもなあ、ここ俺様の家だしな。なんなら着替えさせてやろうか?」
「うわ、まじ勘弁しろって。もーいいから早く!」

投げられた枕をひょいと避けると睨みつけられた。

「はいはい、久々だってのにジェクトさん家のガキは優しくないねえ」
「余計なお世話だっつーの」

あーあ拗ねやがった。
ついつい可愛くてからかいすぎちまう。
親の子に対する愛なんてとっくの昔から越えていたがまだ理性は残っていたらしい記憶のない時間の俺様。
無理矢理なんて、したくねえんだ。

頭をぼりぼりかきながら部屋を出ようとすると後ろから小さく親父、と聞こえた。

「あん?」
「…昼飯、何食べんの」
「昼飯?」
「俺がつくるんだしなんでもいいけどどうせだし、たまにはあんたの好きなのとか…別に自分のためだけにつくるのは楽しくないだけで…ってあんたなんでニヤニヤしてんだよ」

可愛いったらねえな。思わず顔がニヤけちまう。

「お前がつくるんならなんでもいい」
「…ふぅん」

そっぽ向いても顔が真っ赤なのはまるわかりだ。
なんとまあここまで可愛く育つとは。
これじゃまるで親バカだな。
それじゃ、ジェクトさん家の可愛いガキが昼飯をつくってくれるまでテレビでもみてるとするか。
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -