-意図的に無意識に-
ティーダには噛み癖がある。そのほとんどが甘噛みだが、首などにされるとそれでも少し痛い。
「ティーダ」
「…ん、何スか」
跡が付かない程度の、甘い痛み。
どうしてこういうことするのか、聞いてもティーダはわからないと言う。ただ、噛みたくなるのだと。
俺の首元に顔を埋めて歯を立てる。
「ティーダ、そろそろ痛い」
「何、言ってんスか。クラウドはまじ噛みのくせに」
そうだった、俺にも噛み癖はあった。
ティーダの腕や首筋にはくっきり俺が付けた歯型が残っている。
キスマークよりも、歯型のほうが多いくらいだ。
ティーダのように甘噛みじゃなく、ガリ、と音がするくらい噛んでしまう。血が出るほどに。
普段はそうでもないのに、ヤっていると噛みたくなる。
噛み付きすぎて、たまに食いちぎってしまうんじゃないかと思ったこともあるが、ティーダが死んでいないから大丈夫なのだろう。
人間を噛みちぎるほど、俺の顎は強くないらしい。
ティーダが噛むのをやめて、今度は舌で首筋を舐めた。
「…おい、」
「感じた?」
首元でくくっ、と笑うティーダから甘い香りがした気がしてやばいな、と思ったけど止められなかった。
「うあっ、い゙、あ…っ」
口の中に血の味が広がる。不愉快だが、愉快でもある。
「いた、あっ…、う…クラウド、ぉ」
耳元で聞こえる苦痛を滲ませるティーダの声がたまらなく興奮する。
さっきのティーダと同じように、今度は傷口を舐める。まるで犬だな。
そのまま首筋から下にさがる。
自分の首元に甘い痛みを感じる。ティーダは声を我慢するときも、噛みつく。
「ん…っ、ちょ、クラウド待って」
「誘ってたんだろ?」
顔を赤く染めたティーダはとても美味しそうだ。いろんな意味で。
ティーダの唇に噛み付きながら、このまま食べてしまうんじゃないかと、ちょっと本気で俺はそう思った。
(110611)