嘘だと思った。
俺が作り出した幻想だとも。
たとえイミテーションだとしても、たかが模造が、あいつの姿をしているのは。
はらわたが煮え繰り返るほどムカついた。
バッツの目線の先の、俺と同じ服…ソルジャーの服を着た男。
皆はまだ気づいていないが、俺には鮮明に移る。
なぁ、なんで、あんたの姿をしているんだ。
…ザックス。
フリオニール達が話し掛けているのはわかるが、耳に入ってこない。
あいつの姿をしたイミテーションが顔を上げる。
イミテーションは、真っすぐ俺を見ていた。
ザックス、思わず呟いた。
あんたの顔で、あんたの姿で!!
自分の意思もなくただ壊すだけの模造品が、なんでザックスと同じ歩き方なんだ!!
バスターソードの構え方も、その角度も!!
俺の中で何かがキレた。
「…クラウド?」
ジタンの心配そうな声がする。
「誰も行かないなら俺が行くぜ!!」
「ちょ、バッツ!?」
俺の横をバッツが走り抜ける。
それを止めようと走り出したジタンを肩を掴んで止める。
走りながら意外に冷静な頭は自分がリミット発動しているのだと理解した。
「バッツ、そいつは…俺がやる!!」
「え、うわっと!?」
バッツをジタンと同じ、いや多分、多少乱暴に止めた。
正直バッツに構ってられない。
ザックスの姿をしたイミテーション目掛けて走る。
「消えろ!!」
バスターソードを振り、真正面からたたき付けるように切り裂く。
イミテーションは弱く、一撃で消滅する。
「……っ!?」
消える瞬間、イミテーションが微笑った。
……ザックスのような、笑みだった。
力が抜ける。
膝から崩れ落ちた。
反則だ、今までイミテーションに表情なんてあったことがない。
なんで。
その言葉が頭の中で渦を巻く。
悪趣味だ。なんで、なんで
「なんでイミテーション、ごときが!!あんたの顔で…、あんたみたいに笑うんだよ!!」
手の甲に涙が落ちる。
泣いてる、泣いてるんだ、俺が。
当たり前だろ、笑ったんだ。
偽物が、あんたみたいに、優しく。
もう、見れない笑顔で笑ったんだよ。
俺が一番見たかった笑顔が、偽物で!!!
「…ザ、ックス」
本当の笑顔はもう見れないのに。
「…クラウド」
仲間たちの声が、聞こえない。
実は 召喚! 企画の伏線だったりします。