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-悲鳴の意味-



もぞ、と布団に潜る。
柔らかい布団は戦闘で酷使した体を包んでくれる。
その気持ち良さに息を吐いたところで、静まり返ったテントの外から大きな悲鳴が聞こえた。

「ぎゃあああ!!!!」
「!?っいで!!」

その声に驚いて飛び上がると、隣にいたバッツとぶつかった。

「い、痛いッス…バッツ石頭…」
「こっちも痛ぇっつの!それより、今の悲鳴なんだ?」
「今の…クラウド?」

あの声はクラウドだ。多分。
クラウドの悲鳴なんて聞いたことないからもしかしたら違うかもしれないけど。
でも、そんなクラウドが悲鳴…バッツと顔を見合わせる。

「クラウドだったら…」
「…まずいッスね」
「もしかして敵襲!?行くぞティーダ!!」
「ええ、俺上着てない!!」
「そんなんどうでもいい、早く!!クラウドが危ない!!」

半ばバッツに引っ張られながらテントを出る。
確かに敵襲だったらそんなことに構ってる暇はない。
気を取り直して慌てて持ってきた武器を握る。
周りを見渡すと、同じように悲鳴で起きたでたろう仲間たちがテントから身を乗り出していた。

「ま、まて落ち着けえええ!!!」

また悲鳴が聞こえ、いや、お前が落ち着けクラウドと思ったがとりあえずクラウドのいるテントに向かう。
そこには先に来ていたジタンとセシルが敵…ではなくスコールを止めていた。

「敵襲ー!!…あれ?」
「…何してるッスか」

へたりこんでいるクラウドをよく見ると首元が血だらけだった。
クラウド?と呼び掛けると、たべられるかと思った…と小さく呟いた。
本当に何してんだ!?

「あ、ティーダ、バッツ!!スコールが!!」
「…どうしたんだ?スコール」
「スコールが、クラウドをたべようとしたんだ」

え、た、たべ…たべる!?
セシルの言葉にうろたえているとバッツが恐る恐る口を開いた。

「ス、スコール?」
「…すまない、つい。」

ついって何スか。クラウドはついたべたくなるのか。
クラウドは顔面蒼白だ。

「…クラウドって美味しそうだろ」

スコールのびっくり爆弾発言に一同の時が止まる。
あんた多分アルティミシアより凄いッスよ…。

「ス、スコール、気持ちはわかるけど相手の了解を得ないのはまずいだろ!?食べられないかもしれないし」

問題はそこなんスかジタン!?

「多分体力は上がるから大丈夫だ」

何言ってんだあんた!?
目の端でフリオニールがわたわたしてたけど見なかったことにする。
ウォーリアさんは状況が掴めていないようで頭にクエスチョンマークを浮かべていた。
ティナはモーグリを抱きしめながらへたりこんで眠っていたのをオニオンが必死に起こしている。

「スコール…いきなりたべようとしたの?クラウドびっくりしちゃうでしょ?」
「…それは、すまない」

びっくりしちゃうどころじゃないだろ。
クラウドは意識がくらくらしてきたのか返事はない。
結構な血の量だ。
俺は慌ててタオルを持ってきてクラウドの体を支えて首もとにあてた。
ていうか俺が一番に気づくってどうよ。
どうやら皆夜中は弱いらしい。もちろん頭が。
そのときバッツが口を開いた。

「…クラウド食べたら体力上がるのか?」
「俺の見込みでは攻撃とかも上がると思う」

なんの攻撃力とか思ったがあえて突っ込まないでおく。

「スコール、見境なくたべようとするのは治さないとな。まぁ俺もあいつには色々たべさせたけどさ」

もう俺皆が何言ってんのかわからなくなってきた。
え、そんなにたべるの?スコールが?
ジタンが遠いところを見つめて喋ってたから、多分元の世界のことなんだろう。
たべさせたって、えええ!?仲間に何させてたんスか!!

いつの間にかティナとオニオンはいなくなっていた。
テントに戻ったのかな。

「ティ、ティーダ、なんであいつらはあんなたべるたべないをあんな大声で…」
「…それは俺も同感ッスよフリオニール」

二人でため息をつく。
そしてなんでウォーリアさんは無言で仁王立ちなんだろう。

「そういえば、なんでティーダ上裸なんだ?」
「今日暑かったから脱いでたんスよ。とりあえず、クラウドをテントに…ん?」

スコールの視線が俺に向いていた。

「ティーダも美味そうだよな」

俺は猛ダッシュで逃げた。

クラウド、ごめん…俺、まだ自分の物語終わらせたく…ないんだ。


「さっきから君達は何をしている?」
「ウォーリアさん…今更ですか」





(110611)
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