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彼に会いに、例の通りラトウィッジ校に忍び込んで。
そしたらすぐに彼の後ろ姿が見えたもんだから。

「エリオットぉー!!」
「!?…、な」

忍び込んだのも忘れて彼―エリオットの名前を叫んでしまった。
幸い広い廊下には人影はなかったけど。
名前を呼ばれたエリオットが近付いてきて、苦笑いしていると、頭を結構強い力で叩かれた。

「ここで何をしている貴様!!」
「…えへ。いたっ!」

自分的にはとびきりの笑顔だったのだが、逆にエリオットを逆撫でしたようで、また叩かれた。
…あぁ、怒ってるなぁ。
でもいつも怒ってるからそこは気にしないとして。
すぐに会えたから今日は運がいいなーなんて。

「…何しに来た」
「エリオットに会いに」
「俺は用はない、帰れ」
「あ、あと聖騎士物語の続き見たい!!」

エリオットのため息が聞こえた気がしたけど、そこも気にしない。

「だってさ、エリオットがネタバレしちゃったから」
「……う、」
「気になって夜も寝れないんだよエリオットが「ああもう、わかったよ少しだけだからな!!」

同じ読者オタクとして、どこを突かれたら痛いかわかる。
でも、やっぱりエリオットは優しい。
その優しいとこが好きなんだよなぁ。
あと、意外に押しに弱いとことか。

「見つかったらやっかいだから、俺の後ろで歩けよ」
「うん」
「さっきみたいな大声だすなよ」
「はーい」
「…本当にわかってんのか」
「わかってるって」

エリオットは俺を一瞥してから図書館があるであろう方向に歩き出した。
背筋を伸ばし、大股で歩く姿に、エリオットらしいなぁと笑みが漏れた。
…好きだなぁ。
と、ここで一瞬思考が止まった。
好きなものはいっぱいあるけれど、この好きはなんか違う気がする。
胸がきゅーってなるような、切ないけどなんだか…あれ?
もしかしなくても俺…

恋愛感情でエリオットが好き?

「…うそ」
「あ?何か言ったか?」
「いや、でも…まさか」
「…大丈夫か、顔赤ぇぞ」

エリオットの顔が直視出来ない。






不条理な真相。

(まさか俺が男を好きになるなんて)






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