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目線が少し下の、何故か前を歩いているこいつの金髪が、歩く度に揺れるから。
窓から差し込む陽の光に照らされてキレイだったから。
こいつが学校に不法侵入したということも、ベザリウス家の者だということも一瞬忘れて
気がついたらその金髪に手を伸ばしていた。

「エリオット?」
「… え?あ、いや…」

無意識に伸ばしていた手を慌てて引っ込める。

「え、髪?なんか付いてた?」

ヴィンセントとも違う明るい金色の髪。

「…光に」
「ん?」
「光に当たって、キレイだったから…」

はっとして口元を抑える。
顔が赤くなるのが自分でもわかる。
俺を見るエメラルドの瞳が悪戯そうに細められる。

「ふぅん?」
「…んだよ」

その視線に耐えられなくて、目を逸らすと耳元に違和感を感じた。
それはこいつが俺の耳元に手を伸ばしていたからで。

「…なに、」
「俺はさ、エリオットのほうがキレイだと思うけど」
「…は、はぁ!?何言ってんだてめぇ!」
「あ」

伸ばされていた手を振り払って顔を背けた。
こいつが言っているのは、多分髪のことだろう。
だけど、その言葉は俺自身に言っているように聞こえて。
そんなふうに聞こえた自分に驚き、同時に恥ずかしくなった。

「エリオットってさぁ…」
「なんだよっ!」
「いやぁ、なんでも?」
「……っ」

だんだんいたたまれなくなってきて、 追い越して早足で歩いた。

「あ、待ってよエリオット!!」

こいつはベザリウスの人間で、それだけでも嫌悪の対象だけど。


きらきら光る、金色の髪は好きなんだ。





不都合な真実。

(嫌いだけど好きなんだ)





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