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怠いったらありゃしねぇ。
くあ、と大きな欠伸を隠すことなく盛大に口を開けた。
涙と眠気で目がしょぼつく。
長ったらしい朝会と、これまた長ったらしい校長の話で朝からうんざりさせられる。
フケてもよかったのだが何を思ったか今日くらいは朝会出てやろうと思った数分前の俺、もう少しよく考えてくれよ。
また欠伸が出た。
時計を見ると始まって10分も経ってない。多分俺は今うげえ、とかうわあとかそんな顔をしてんだろうな。

本当、勘弁してくれ。

いまどき朝会で立たせんのかよ。これからは絶対朝会なんかサボタージュだ。足をぶらつかせながらひそかに決意した。

暇を持て余した皆が身じろぎをし始めている中、全く動かない奴が一人。長くて赤い髪だけが微かな風に揺れている。シルバー、お前そういうとこは真面目だよな。ただ単に動くのさえ面倒なだけかもだけど。
後ろからはわからないがその視線はあの校長に注がれているのか。
なんだよ、あんなやつ見るくらいなら俺を見ろよ。
自分でも理不尽な考えなのは一応理解してる。

こっち向いてくんねえかな。

シルバー、こっち向け。

後ろ向け、シルバー。

俺を見ろ。

伝わらないとわかっているテレパシーをシルバーに飛ばす。俺たちまだ以心伝心は出来ねえかな。

なあ、シルバー。

「…う、お」

不意に後ろを振り向いたシルバーの銀色の瞳とがっちり目が合った。
え、通じたんか?
俺が思わず固まっていると、シルバーの口が動いたのが見えた。

『呼んだか?』

まじかよ、通じた…。

驚きで未だ動かない俺を不信に思ったのか、怪訝な顔をしてシルバーはまた前を向いてしまった。


ああもう、くそっ。馬鹿シルバーめ。

今すぐ駆け寄って抱きしめたい衝動を必死抑えながら中々進まない時計を睨み付けた。

こんな時に、反則だコンチクショウ。







(110610)
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