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俺に挑戦してきた黄色い帽子の少年はどうやらジョウト地方を旅して、なんと四天王を負かしてカントーに来たようだ。
カントージムを制覇しまくるやたら強い少年がいると聞いたがどうやらこいつのことらしい。
ヒビキと名乗った少年にちょっと昔の自分を思い出して、未だ強い挑戦者を待つあいつのことを話してみた。
俺に勝ったんだ。あいつにとってもいい相手になるだろうしもしかしたら負けちゃうかもな。

そんなことがあったのが一週間前。

トキワジムで休憩しているとそいつはふらりとやってきた。

「よかったグリーン居たんだ」
「…レッド」

いきなりだなとか久しぶりとか言おうと思ったがとりあえず窓から入ろうとするレッドを突き落とした。

「なにすんの!」
「玄関から入れ!」

大人しく玄関から入ってきたレッドの顔が何故か嬉しそうだ。
なんだ気持ち悪い。
いつもは無表情無愛想なくせに何があったんだ。

「聞いてグリーン」

やたらテンションが高い(はたから見たら普通だが普段のこいつを見たら異常だ)レッドにちょっと引きながらなんだと言い返した。

「僕、負けた」
「!…へぇ」
「一回目は勝った二回目も勝った。あと四回やって六回目で負けた。今さっき」

だからこんなに嬉しそうなのか。
もうこの世界に俺以外でこいつをコテンパンに出来るやつはいないんじゃないかと思ったが、相当強いやつだったんだろう。
わざわざ俺に報告するくらいだ。
負けたのが嬉しいなんて頂点に立った者だからこそだろう。
しかし七回も挑むとはなんてハードなやつだ。コテンパンまではいかなさそうだ。

それでちょっと前のことを思い出した。

「戦ったやつって、黄色い帽子の?」
「そう。前髪がぴょこんってなってた」

そうか、レッドを負かした強い奴はヒビキか。本当に倒すとは、俺の目は間違っていなかったらしい。今度会ったら写真撮らないと。

嬉しくてたまらない様子のレッドに、あいつしかも年下だ、というとここ何年見たことない笑顔になった。

「ジョウトを旅してきたらしい」
「僕達が、旅したときと同じ年齢だと言った」
「…そうか、俺らすっかりおじさんだな」

レッドはどうせまたすぐ山に戻るのだろう。
ヒビキは俺達がマサラを出て旅をしたときと同じ年齢で、同じようにジョウトを旅をして。
そして最強と言われるまでになったレッドを倒した。

「…また、旅がしたくなった」
「そうだな」

そうだな、今度はジョウトかホウエンでも。

競い合って、旅をして。
もう三年も経ったあの頃を懐かしく思い出しながらどうやってジムを空ける言い訳をするか考えていた。









(110610)
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