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※前サイトの
※LOVELESSをパロってます。
猫耳とか平気なかた、むしろかもーんな人はどぞ。



高校三年生で耳と尻尾付いてるやつは今どきそんなにいない。
若い先生なんかはいるっちゃいるが、恋人がいないか、先生になるために勉強しまくってたからだろ。
でも進学校でも私立でもないこの学校で勉強に勤しむ、よりは恋愛やらでここの生徒は大忙しだ。
男も女も。
俺もその一人。でも別に恋愛してる、ていうわけじゃなくて俺はただ身体を重ねて気持ち良くなるんならそこに愛はなくていい、って派。

でもやっぱこんな学校でも純潔を守ってる奴もいる。
この学校ではクラスに二、三人程度だろ。 今、俺の席の前にいる奴もこの学校で数少ない純潔を守ってる一人。名前は猪八戒。因みに男だ。
モテないやつかと思いきやこれが結構顔がキレーなんだわ。
目も、俺が言うのもなんだが珍しい深い緑色。

性格もイイと思う。男女問わず人気のある奴だ。
これでモテないわけない。だから、単にこいつはそーゆー事に興味がないだけらしい。

耳や尻尾は自分の感情に忠実だ。怒っていれば逆立つし、悲しければペタン、てなる。
非常に厄介なものだ。
でも俺の前に座っている八戒は、いつもニコニコしてて笑顔を絶やさない。
しかも耳にも尻尾にも感情が現れない。
だから本当は今怒っているのか、心から笑顔なのか、この俺でもわからない。

実は付け耳なんじゃないかとひそかに俺は思ってる。
それかめっちゃ感情をコントロール出来るやつとか。

どっちも有り得るな。

キーンコーンカーコン
6限目を終了する鐘がなった。

「今日はここまでー。」

先生がそういうと生徒達が帰る準備を始めた。

「…なぁ、八戒。」
「なんです?悟浄。」

八戒わざわざ手を止めて俺の方を向いて首を傾げた。

「あのさ、お願いがあるんだけど。」
「だからなんです。」

一回気になると中々その考えは無くなってくれないわけで。

「耳、触らせて。」

そう言うと八戒は固まった。
たっぷり十秒。

…なんか変な事言ったか?もしかして本当に付け耳とか?

「…なんでです。」
「え、いや、血が通ってんのかなー、とか。ね。駄目?」

八戒は俺から目を逸らして、怪訝な顔で何かを考えているようだ。
珍しい。目が泳いでる。まじて付け耳か?
「…なんか勘違いされたままなのは不本意なので触ってもいいですけど、…」
「ですけど?」
「強く掴んだりしないで下さいね。ちょっとだけですよ?」
「わかってるって。」

耳とか尻尾を強く掴まれたら結構痛い。つーか超痛い。それくらいわかる。
経験あるから。

「んじゃ、ありがたく。」
「ん。」
「あ、暖かい。」
「あたりまえです。」

八戒のはやっぱり本物だった。付け耳だったら面白かったのに。
ちょっとだけムカつく。ので、必要以上に撫でた。

「…ひぁっ、な、何す、ぁっ」

そしたら予想外の反応が。痛がると思ったが。
八戒にとっても予想外というように俺の手から逃れようと必死だ。

「ぁ、ちょ、やめ…っ、ん」
「もしかして感じちゃったりする?」
「…っ、悟浄!!」

面白くなって撫で続けると、八戒が思いっきり俺の手を跳ね退けた。
結構痛い。

でも明らかに悪いのは俺なので文句は言えない。
それよりも、

「…は、ぁ…ちょっとだけ、って言ったじゃないですかっ」

耳をペタンとして翆色の瞳がうっすらしめってて、頬を淡く紅潮させて、俺を睨み付けている八戒の色気が半端ない。

俺は男っ気があるわけではない。断じて。だけど、だけどこれはちょっとヤバイ。
八戒が、俺程の男をもたじろぐ色気を出しているのだ。
その証拠に俺達の周りにいる奴ら(男も女も入ってる。)が八戒に魅入っている。

「…悟浄。」
「え、あ、悪ぃ。」
「………。」

だから、そんな潤んだ目で見んなっつの!
「…くずぐったいから、あんまり触らないで、って言ったのに。」
「え、くずぐったいって、くずぐったいだけ?」
「?そうですけど。悟浄もかつてはあったんだからわかるでしょう?」

確かに他人に触られたらくずぐったい感じはしたが、八戒の反応は明らかに感じているだろう。
そういう事に興味がないから、くずぐったいのか感じているのかわからないのだろうか。
もしかして、こいつはかなりの鈍感人間か。
今だに耳と尻尾がついてんのはそのせいの可能性もある。
自分が、実はめっちゃモテるのもわからないとか。

八戒は頭は良いが、こういう事に疎いのかもしれない。
言語理解力はかなりあるが、告白する時はストレートに好きだ、って言わないと伝わらなさそうだ。
顔も綺麗で頭もイイこいつに直球では言えないだろ。
彼女もいないんじゃ無くしようがない。
多分、俺のように不特定多数の人と、とだなんて八戒のキャラじゃないから。

「………。」
「?悟浄?」
「んぁ、いや、なんでもね。」
「はい、皆さん席について。」

先生が来た事でこの話は終わった。

俺は、耳が性感帯だなんて男では始めて見るなぁなんて思いながら、ゆらゆら揺れる真っ黒い八戒の尻尾を見詰めた。

俺の中でうごめいている感情を、知らない振りをしながら。







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