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―自分達は堕ちた。暗い暗い漆黒の闇に。
もがけばもがくほど闇は絡み付いた。足掻けば足掻くほど飲み込まれていく。唯一聴覚を刺激するのはあの人の声だけ。
何も見えない暗闇の中で光を見つけた。
眩しい程の、小さな光が。

― 光は自分達を淡く照らした。

― 一度闇に堕ちた僕等は、綺麗な羽はもうない。

― 俺達にあるのは片方だけの漆黒の翼。

僕にとっての戒めの緋色の髪と瞳をもった貴方と。

この髪と瞳を戒めと言った翡翆の瞳をもったお前と。

―その光に向かって歩いても赦されるだろうか。

「ねぇ、悟浄。」
「ん?なによ。」
「突然ですけど、三蔵と悟空って背中に真っ白な羽生えてそうですよね。」
「はぁ?三蔵と悟空?なんだそりゃ。…まぁ確かに身体は汚れてねぇとは思うけど。色んな意味でな。」
「お坊さんと、それに育てられてる子供ですからねぇ。」
「真っ白い羽つったら天使みてぇな?…いやー、天使て面じゃねぇな。」
「なんか清らかそうじゃないですか。誰にも汚されてない、綺麗な真っ白な羽。」
「…あいつらが白い羽の天使なら、俺らはさしずめ黒い羽の堕天使ってとこか?」
「そうですかね。一度堕ちた僕等にはぴったりですねぇ。」
「しかも片方だけの。」
「二人共ですか?」
「二人共。」
「…なら、僕は悟浄がいないと飛べませんね。」
「いんでねぇの?俺がいないと飛べないんなら、八戒が俺のとこからいなくなる心配はねぇし。」
「それはお互い様ですよ。…ずっと傍にいます。逃がさないから、覚悟して下さいね?」
「お前こそ。離れるなんて許さねぇから。」

―僕等に真っ白ではなく、漆黒の羽が生えてたとしても。

―俺達の罪に塗られた漆黒の羽が片方だけだとしても。

―一度、暗闇の底に堕ちたとしても。






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