※日記ログ
ふと下を見れば自分の影が色濃く映っていた。草も生えていない地面には、ただ無数の小さな石が転がっているだけだった。
風が吹けば簡単に動いてしまいそうなそれは、神羅のビルの窓から見えた景色のように思えた。
一瞬、ここがどこなのかわからなくなる。何故ここにいるのか、俺がいる場所は、いるべき場所はここなのか。
意味のないとわかっている自問自答を繰り返してそれを追い払うように目を瞑る。
次に見えたのは真っ青な空だった。
「クラウド…?こんなところにいたのか、探したぞ」
背後から聞きなれた艶のある声が俺に呼び掛けてきた。鎧の音を鳴らし、1つに括った長い銀髪を揺らして呆れたように笑っているのだろうと姿を見なくても想像がつく。
俺はそれを聞きながら空から目を離さなかった。眩しいまでの光は先程見た色の濃い影を作り出していたものだろう。
強すぎる光は深い闇を生む。
だけれど今だけは、
「…空が、」
「え?」
「空が綺麗だ、フリオニール」
お前のように、そう言って振り向くと呆けたように口を開けた男が俺の予想通りの姿で立っていた。
(120316)