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聖川の反応はわかりやすく変化した。
たとえばオレがあいつを気にしようとも気にせずとも、寮の部屋が同じだろうとなかろうと、あいつを知っている者は誰だって気がついているだろう。

電気を消す前に視界に入った時計の短針と長針がぴったり寄り添うように真上を指していた。

ベッドに潜り込むと柔らかなシーツが素肌を滑る。息をゆっくり吐くと、その音がやけに鋭くなった聴覚を刺激した。
誰もいない部屋で、一人で眠るのは久しぶりだった。
否、今日は課外授業にて少しは疲れているのは珍しく早く横になったのだが、いつもの就寝時間にはまだ早く眠気は襲ってこない。
だからもう眠るわけではないのだけど、どうにも何もする気が起きない。肌寒くなってきた季節に差し掛かった今、このようなことではいけないと小言をいう同居人もいない。

静かなものだ。

オレと聖川の間に友達同士のような会話はないものの、同室となるとどうしても多少の接触はある。どちらも声を発していなくともお互いの存在を認識できるほどの音は耳にはいる。
今日はそれがない。

こんな時間まで。
あいつだってオレのこと言えないじゃないか。きっと、レッスン室を借りて時間を忘れるほど没頭しているに違いない。
深夜になろうというこの時間に、あいつのパートナーのレディはさすがに帰っているだろう。一人で課題、ひいてはレディのためにあいつは。

誰でもよかった。別に、あいつじゃなくてもいいはずなのに。

あいつの、レディのことを考えて緩んだ顔など見たくもない。オレに対してさえ散々に本人は気づかずのろけるのだ。そんなのごめんだ。それなのにきっと。
帰ってくるまでオレは寝れやしないのだ。



(131205)
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