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しに暑い、を繰り返しながらもわんたちは飽きもせず屋上にいた。昼休みの時間は、わんと裕次郎、時々永四郎たちもいるけど基本は二人で屋上に居る。冷房のかかった教室じゃなくて、わざわざ屋上にいるのは、人がいないからだ。こんな暑い日に外に居るのはわんたちくらいなものやっさ。
晴天の霹靂を表したような空は雲一つない。てぃーだを隠せず、地上には惜しげもなく紫外線が降り注ぐ。
範囲のせまい影のせいで意図せずともわんと裕次郎はくっついて座っていた。これじゃ影にいても暑い。でも日向よりはまし程度ではある。教室に戻るつもりはない。
ジリジリと焦げるような光でなにもしていないのに汗が吹き出る。ちらと横を見ると、裕次郎が食べていた棒アイスがまだ半分も食べていないのに溶け始めていた。

「あんやー、もうわんの手についたやっさ」
「こんなところで食うからやっし。カップアイスにしれよ」
「これがまーさんだからよ。でも、うわあ、しにべたべた」

裕次郎の手に溶けたアイスが流れる。どろどろとした白い液体が、浅黒い肌とコントラストのようになる。

「うり、凛食べてみー」
「裕次郎」
「ぬーが、っう、あ」

手を取ってそのまま舌でべろりと舐め上げる。まだひんやりと気持ちいい。けれど裕次郎の肌は熱いままだった。

「ちが、凛っ!わんの手じゃ…っ」
「そんなことわかっとーさ」

舌を這わせる度に小刻みに揺れる。そうだった、裕次郎は指がわりかし敏感だった。裕次郎を見ると目を逸らして、顔を真っ赤にさせて固まっていた。

「……ん、まじだ。まーさんよ、これ」
「…っ、あ、も、やめれ」

これだけで感じるのか、裕次郎は既に目に涙が浮かんでいた。陽光に反射してきらきらしている。まだ残っていたアイスがぽとりと落ちる。ああ、勿体ない。けど、そんなのは構わない。
手から顔を離す。眉が下がって、はあはあと少し荒い呼吸していた。こっちを見ないようにしているらしい。食べてくれと言わんばかりの表情。でもきっと裕次郎は無意識だ。たちが悪い。真っ赤なまま目を逸らす裕次郎に耳元まで近づく。

「でも、やーのがうまそうさあ」

青空の下での裕次郎は、健全で、中々に汚したくなる。
沖縄の夏は暑い。けれど、シャツの裾を上げて触れた裕次郎の肌はもっと熱い。やっぱり、教室には戻れない。




(120707)
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