※若干卑猥
※食べ物は粗末にしないこと!





「んっ!…んぅ、う…んんっ!?」

「フッ…ほら、もっと味わって食えよ?ケンタ」

「ん、ん、んんぅ……んぐぅっ!!」


身動きの出来ない自身の身体の上に跨った赤髪の男に、オレは口の中へ恵方巻きを押し込まれていた。

その日も昼に偶然街で出会い、流されるままにヤツの(いくつあるか分からない)隠れ家に連れ込まれ、あっという間にベッド上へ投げられ、手をベッドヘッドに拘束されてしまった。
ヤツに抗議をしてみるが聞き入れてはもらえず、無理矢理口を抉じ開けられ、その中へ黒いナニかが押し込まれた。

当然オレは吐き出そうとしたが、目の前の男は容赦無くその物体をオレの口へ押し込み続ける。
しばらくして、やっとこの物体は食べ物で、そして節分の時に食す恵方巻きだと理解し、オレは少し力を抜いた。
だが、反対にヤツは力を抜いたオレを見て、さらに強引に恵方巻きを押し込んできた。

ヤツがどういった意図でオレを拘束してまで恵方巻きを食わせるかが分からず、オレは押し込められる恵方巻きを一秒でも早く消化しようと、さきほどから懸命に口を動かし続けていた。


「ハッ…。厭らしい顔だな…誘ってるのか?」

「っ!? ……んぁ…(違ぇっつうのっ!! 馬鹿じゃねーのコイツ!?)」


確かに自身と彼はそういった行為を行う関係ではあるが、食べ物を利用してまで自分に欲情しているのかと思うと一気に顔が赤くなった。

やっと彼の意図を理解することが出来たが、色々と手遅れな気がしてきた。


「んっ!……ゲホッ、ゴホ…」

「やっと食い終わったか。…どうだ? 恵方巻き、美味かっただろ?」

「…っ!? …お、前なぁっ!」

「遊びは終わりだ。次は…分かってるだろ?」

「分かってるって!」


そんなどうでもいいことに思考を巡らせていたら、どうやらいつの間にか食べ終わっていたらしい。
しかし目の前の男は自身の上から退く気配は全く無く、その行動がこれから始まる行為を匂わせていた。
その証拠にヤツはオレを見下ろしたままニタリと笑い、行為を催促してくる。

両腕を拘束されている自分に選択肢は残されていない。仕方なく観念すると、ヤツはゆっくりとオレの衣服を脱がし始めた。


「ったく、普通に言えっての…」

「悪かったな。そういうキャラでなくて」

「はいはい。お前にムードとかいうもんを期待したオレが馬鹿でした」

「…お前こそムードのない奴だな…」

「言ってろ……。ほら、さっさとキスしろよ」

「言われなくても」


ムードもへったくれもない会話から、オレ達の行為は開始した。
相変わらず乱暴なキスを受けながら、オレはそっと目を閉じ、快楽を享受することにした。

今鬼が来たら、間違いなくオレ達はやられるな。なんて変な事を考えながら。



(誘うための口実)



「鬼が来たら速攻でそいつ等を片して続きをするな」


服を脱がしながら、ヤツは割と真剣そうにそう言った。


(Side.アニポケ)