「…グリーンさん?」


季節は春。枯れ葉は消え、噎せ返るような花の匂いを、ぬるい風が運ぶ。
ふいに彼に呼ばれた気がして、オレは振り返る。

馬鹿だな。ここには彼、正確にはオレ以外、誰もいないのに。

カントー地方から全てが消えた事件から数ヶ月。
その異変はジョウト地方にまで広まった。


シルバーも、

  クリスも、

 博士もお母さんも、

  みんな消えた。


みんなで見たあの蒼空も消えてしまった。


消さないで。

オレの大切なものを消さないで!

オレの生きた証。オレの宝物。


ぎゅっ、と掴みそして、離した。


砕けてボロボロになったこの感情のカケラを抱いて、離せないまま。
もう限界なんだと悟る。

孤独には耐えられない、でも、消えたくない!



―『…もう、頑張らなくていいよ』


ぽつり、不意に優しい声が響く。
自分の声によく似た声が。



―『…おやすみ』



消えたくない。

そう思ったのに、後ろから声の主に抱きしめられ、力が抜ける。
足に力が入らない。


「(でも、もういいよな?オレ、頑張ったよ、な…?)」


目を閉じた瞬間、身体が消えていくような感覚が襲う。


そして、


自分という名の全てが零れ落ちて、


消えた。



(また、新しい世界で)










解釈の仕方としては、

・リメイクされたことによって顔つきや衣装が変わる。
 →初代の彼らではなくなる
 →自分の姿(データ)が消え、新たに書き換えられてしまう。

「データが消える=そこにあった全てが消える」

という風にしてもらえると助かります。
私の中では初代とリメイクは別物と考えています。