※ライバル視点
これの続き(若干背後注意)





チチチ…


「……ん、」


外から聞こえる鳥の微かな囀りで、俺はゆっくりと意識を覚醒させた。
身体を起こして辺りを見回せば、窓に引いたカーテンの隙間から朝日が優しく差し込んでいた。
俺は身体を伸ばしながら、隣のヤツが起きないようにベッドから抜け出る。


「フッ…、アホ面だな……」

「んむ…うぅ…」


俺の隣で一晩を共にしたのは、ワカバとかいう所から旅に出たケンタと言う少年だ。
ケンタはあまり良いとは言えぬ寝相で、情けない面を晒していた。
アイツらしいと思う反面、それは昨日とのギャップを更に引き立てているのだ。


昨日、初めてケンタとキスをした。


初めてと表現したのは、以前ケンタのファーストキスを奪った時の様な強引なやり方ではなく、意志が通い合った状態だったからだ。


我ながら、卑怯だったとは思う。


自身のテリトリーに招き入れ、逃げ場を無くした。と取られてもおかしくないシチュエーションでの告白だったのだ。
自称『直球一本槍』なアイツなら、俺のことを拒絶すると思っていたから。
だからこそ、ケンタが俺からのキスを拒まなかったことはすごく嬉しかった。

初めてゆっくりと味わったアイツの唇は、少しかさついていたが温かくて、柔らかかった。
無我夢中で舌を絡め、アイツの手と俺の手を絡ませ、貪った。
顔を真っ赤にさせながらも、アイツはきちんと俺に合わせようともしてくれた。

それが本当に嬉しくて。


キシッ…


「ケンタ…」

「んん………」


ベッドに乗り上げ、ケンタの顔を上からまじまじと覗き込む。
視線を下に下ろすと、少し肌蹴た上着から首筋が露わになっていた。


「………」


そこへ導かれるように、唇を運び、



(そっと、触れるだけ)



口付けを落とした。


お題/immorality『愛しいあなたに5回のくちづけ』