※BW組



「「こんにちはーっ!デントさん、来ましたよっ!」」

「やぁ、キミ達よく来たね。丁度今から始めるところだったんだよ」


しんしんと雪が降り積もるクリスマス。
俺とヴァイスはサンヨウシティのジム兼レストランで開かれるクリスマスパーティに招かれ、やって来た。
ジムの中へ入ると、ジムリーダーの一人、デントさんが俺達を出迎えてくれた。
彼に案内され、奥へ進むと、そこには豪勢な食事と豪華な飾り付けがされたオーナメントが、ずらりと並んでいた。


「うわー!すごい、綺麗…」

「すごいですね、コレ。デントさん達だけで飾り付けしたんですか?」

「いや、この街の人達全員でやったんだ。この街始まって以来の大きな行事だからね…。皆張り切って飾り付けしたんだよ」


二人で色鮮やかに飾り付けられたオーナメントを見ていると、不意に肩を叩かれた。
そこには幼馴染であるベルとチェレンがおり、二人はにこりと微笑みながら声を掛けてきた。


「ベル!それにチェレンも!!」

「やっほー、ヴァイス。遅いよー。私とチェレンはずっと前から待ってたんだから!!」

「シュウ、やっと来たね…。随分遅かったじゃないか」


心底待ちくたびれたとでも言いたそうに、幼馴染の二人は溜息交じりにそう告げた。
しかし、その顔は嬉しそうだった。


「実はそこの二人を招いたのも僕達なんだ。他の街の人間やジムリーダーにも声を掛けたから、今日この街はすごく賑やかになるだろうね…」


デントさんは嬉しそうに、雪が降り積もる外の景色を眺めていた。
外は雪が降っているにも関わらず、多くの人が楽しそうに往来しており、時折外から子供達のはしゃぐ声が響いてきた。


「おーい、デント。そろそろ始めるぞー」

「こっちに来て手伝って下さい!」


厨房の方からだろうか、もう二人のジムリーダーであるポッドとコーンの呼ぶ声が遠くから聞こえた。


「今行くよ!…それじゃあ、僕はこの辺で。君達はゆっくりしていってよ」


それだけ言うと、彼は呼ばれた声がした厨房へ駆けて行ってしまった。


「忙しそうだったね…」

「なんだか間が悪い時に来ちゃったかな…?」


改めて周りを見回せば、ジムトレーナーでもあるウエイターやウエイトレスも忙しそうに駆け回っている。
その手には香ばしい匂いを漂わせた七面鳥やピザ、クリスマスには欠かせない食べ物が載せられていた。


「いや、そうでもなさそうだよ…。さっき来た時の方が忙しそうだったし…」

「そうそう!今は多分、ケーキの仕上げにかかっていると思う」


チェレンやベルがそう言うのと同時に、先程厨房の奥に消えてしまったデントが、ポッドやコーンと共になにかが載ったキャスター付きのカウンターを引きながら現れた。


「お待たせしました!今からサンヨウジム主催のクリスマスパーティを始めたいと思います!!」

「テーブルに並べられた食事はバイキング形式ですので、自分の好きなものを好きなだけお取り下さい」


デント、そしてコーンが部屋の中央でパーティの旨を説明する。
すると、彼らの後ろで控えていたポッドが、先程運んできたものの上に掛けてある布に手を掛け、


「そして、今回の為に用意したとっておきの代物!クリスマスケーキの登場だっ!!」


バサリッ


「おぉ〜っ!!」

「わぁっ!!」


大きな音を立てて退けられた布の下から現れたのは、高く積み重なったクリスマスケーキだった。
ベースはイチゴショートらしく、白い生クリームの上にジャムでコーティングされたらしい赤いイチゴが輝いていた。
周囲の客も予想外の大きさのケーキを前に、はしゃいでいる。


「それじゃあ、クリスマスの主役、ケーキの方のお披露目も終わった所で…」

「始めましょうか!」

「クリスマスパーティを!!」


そして、それを合図に彼らの傍に控えていたウエイターとウエイトレスが手にしていたクラッカーが高らかに鳴り響いた。


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