………はい?
「あの〜お二人さん?言ってる意味がよく分からないんですけど…」
「お前は一日休みかもしれないが、俺とクリスはウツギ博士の手伝いで、これからカントーに行かなきゃならない」
「えっ?……えっ!?」
「だから、三人の一日保護者。頑張ってね!」
「…ちょ、ちょっと待ってくれっ!!」
「…クリス。そろそろ行くぞ」
「じゃ、後よろしくね!じゃね〜!」
バタンッ
「ひでぇよ〜〜〜〜〜っ!!」
オレが二人の言葉を理解する間もなく、非情に閉じられた扉に向かって伸ばされた手は、虚しく宙に浮いた。
「「ゴー兄ちゃん、どうしたの?」」
「どうした、ゴールド」
オレの悲痛な声を聴きつけて、三人は俺に近寄り、声を掛ける。
「(ちくしょう…。今はその天使(ソウルを除く)の笑顔が心底憎い……っ!!)」
「…あれ?クリスお姉ちゃんは?」
「シルバー……あ、…兄貴は…?」
オレ以外の大人組がいないことに気が付いたのか、コトネとソウルが問い掛ける。
「二人はウツギ博士の研究の手伝いだってさ。だから、帰ってくるのは日が落ちてからだな…。それまでは、オレと一緒に遊んでようぜ?」
「手伝い。って、ポケモン図鑑のこと?」
「それは昔にやったなぁ…。今はポケモンの進化の過程とか、生態についてとか、そんなことばっかりだよ」
「そういえば、兄ちゃん達のポケモンはどうしたの?朝から一匹も見かけないけど…」
「……っ!? そ、それは……」
やっぱり。
いずれ聞かれると、覚悟はしていた。でも、…でも、……でも、
「…死んだよ」
「「「……………え?」」」
覚悟を決めて彼らに”真相”を話せば、彼らは時が止まったかのようにぴたりと身体の動きを止めた。
三人の顔から表情が消え、オレはズキリと胸が痛む。
「寿命でな…。オレの最初のポケモンは、ヒビキと同じワニノコで…。旅を続けていくうちにオーダイルにまで進化して…」
オレが口を開く度に、俯いていく彼等の顔。
そんな彼らの顔を見ない振りをして、オレは話し続ける。
「でも、最期は幸せそうに笑って、眠るように死んでいったから…。悲しかったけど、嬉しかったよ…」
「「……ごめんなさい」」
「……ごめん」
気まずそうに彼等が謝罪する。
子供ながらに、気を使ってくれたのだろう。
その気持ちが、たまらなく嬉しかった。
「別に、いいよ…。さ、辛気臭い話はこれでお終い!せっかく天気が良いんだし、コガネのデパートまで遊びに行こう!」
手を叩いて重い空気を一掃し、三人の手を引き、外へ向かう。
「コガネのデパートは、最近イッシュ地方で流行っている“ヒウンアイス”っていうのを売り出したんだ!一回でいいから食べてみようぜっ!!」
(外は快晴、遊びに行こう!!)
いざ、出発!!