「とりあえず、状況整理しよう!」
「ああ」
「賛成…」
突然オレ達の前に現れた少年少女達は、オレ達より少し離れた場所で仲睦まじく話をしている。
そんな三人を遠目に見遣り、オレ達は顔を見合わせて声を潜めた。
「本当にどうなってるんだ!? ヒビキに至ってはオレにそっくりだし!」
「ソウルも俺に似ていないこともないな…。まぁ、若干俺より小生意気な感じはするが…」
「私とコトネちゃんは全然似てないけどね…」
「まぁ、似てる似てないとかの問題じゃないんだけどな…」
何故、彼らはオレ達の前に現れたのか。
逸れかけていた話題を戻し、オレ達は一人一人仮説を立てていく。
「オレは“ドッペルゲンガー説”を推すね。でなきゃあんなに似ているハズがない!」
「そんなこと言ったら、全然似ていない場合はどう説明するの?」
「うっ……、それを言われると…」
それもそうだ。
ドッペルゲンガーとは、謂わば自分の生き写し。
自分と姿形が全て一致していることが前提なのだから、オレ達の年齢が違う時点で、この仮説は成り立たない。
「だが…、一つだけ濃厚な説がある」
オレとクリスが頭を悩ませている中、今まで沈黙を守っていたシルバーが、不意に口を開いた。
「“パラレルワールド”。という言葉を知っているか?並行世界に生きる、もう一人の自分。これならこの異常な事態にもいくらか納得がいく」
「それってつまり、私達のもう一つの可能性…。違う世界での私達、ってこと…?」
「そういう解釈で構わない……。ヒビキとコトネ。あの二人は互いにワカバタウン出身と言ったそうだな。この世界で言う、ゴールドとクリスと同じだ」
「でも、…だったらソウルは?アイツの出身はどこなんだよ?」
ヒビキとコトネは互いに幼馴染であるのだから、出身が同じ場所なのも頷ける。だが、シルバーとソウルの関係性とはどんなものなのだろう?
そう問い掛けると、シルバーは少し眉を顰め、不機嫌そうに言った。
「アイツは、俺と同じさ…。出身は分からなかったが、アイツは『サカキの息子』だ…」
「……っ!?」
まさか。
そんなところまで似ているなんて!!
オレとクリスは驚きを隠せず、大きく目を見開いて固まった。
オレ達の周りを、重い空気が漂う。
「で、でもさ!いつまでも悩んでたって仕方ないって。いつアイツらが元の世界に戻るか分からないけど、それまでオレ達が面倒見ればいいことだし!!」
その気まずい雰囲気に耐えられなくなって、オレは二人を励ますように明るく振る舞う。
「そ、うだよね…。うん!悩んでたってなんの解決にもならないしね!」
「ゴールドの言う通りだな。きっと、時間が解決してくれるさ…」
「そうそう!!」
オレ達は三人でうんうんと頷き合う。
いつまでも悩んでても、仕方ないしな。
「ということで、お願いね。ゴールド」
「そういうことだ。頼んだ。ゴールド」