床に強かに打ち付けられ、痛みをやり過ごしている少年を横目に、俺は少年の上着の中へ手を滑り込ませる。


「う…、なに、するんです…かっ!! てか、どこに手ぇ入れて…っ?!」


痛みに顔を歪ませながら、少年はキッと俺を睨む。
侵入させた俺の手を退けようと抵抗するが、俺は次の行動を起こす。


「なにって…、こういうことだけど?」


そう言いながら、手を滑り込ませた上着の中にある胸の飾りをキュッと抓む。


「!! …ひっ!! …や、やだ、…!!」

「その割にはしっかりと立ってきてるじゃねぇーか、お前の乳首」

「あ…いやだ…ヤメ…、ロ!」


くつくつと喉奥で低く笑いながら、俺は少年の柔らかく小振りな乳首を捏ねる。
その刺激に少年の身体は反応したのか、小さく身体を跳ねさせた。
そんな初々しい反応が俺の中の嗜虐心を揺さぶる。


弄られれば立つ。


それは生理現象なのだから抗い様のないことなのだが、言葉で詰られることによって、少年の心の中は羞恥心で一杯になっているからか、それがなくみっともないことだと誤認し、どうしようもない羞恥に駆られているのだろう。


「ヤメロ、…だぁ?誰に向かって口利いてんだよ、ジョウトのボウズ」

「やぁっ!! …こんな…こと、…。オレ…男、なのに…」

「世の中にはこういう世界もあるんだよ」

「やだ…や、…だ!! …ひぅぅっ!!」


少年はこれからされることに少しだけ合点がいったのか、持てる全ての力で俺に抵抗してきた。
だが、再度、今度は強く乳首を抓まれ、その動きは止まった。


「どうだ?気持ちいいか??」

「やだぁ!! …やめて、やめて下さい!!」

「下の方も固くしてるくせに、今更止められるかよ」

「〜〜〜〜〜っ!!」


すり、と片方は胸へ、もう片方は性器へと手を滑らせ、少し固くなり硬度を持った性の象徴を撫ぜれば、少年はハッと息を詰めた。
その瞳は信じられないものを見るような瞳で、その絶望した表情にも、俺はそそられた。
瞳からは生理的な涙がとめどなく溢れていた。


「それだけは……、それだけは本当にやめて下さい!! やだやだやだっ!!」

「ごめんな………。

なぁ〜んて、白々しいか」

「あっ、あああぁぁぁっっ!!」


少年の必死の懇願を笑顔で拒否し、一気に少年の下着を剥ぎ取る。
そのまま素早く少年の性器を握り込んで上下に擦る。
少年は甲高い悲鳴を上げながら、なおも抵抗してきており、そのままだと鬱陶しいので、手は彼の頭上で一纏めにして拘束した。


「はぁ…、はぁっ…やぁぁ!! なんで、…こんな…オレぇ、……やだ、やだ…」


快楽と羞恥の波に飲み込まれ、また、同性に組み敷かれ扱かれている状況に、少年は虚ろな表情で、意味の無い言葉を羅列していくだけ。
その堕ちた表情がとてつもなく自分の支配欲をじんわりと満たしていく。


「!! やっ…なんか、変…あ、あ、あ、あ…!!」


限界が近いのだろう。


少年の顔は迫りくる絶頂を抑えきれず、ただただ涙を流すだけ。
その涙をぺろりと舐め上げ、俺は少年の唇に自分のソレを重ねた。

それと同時に、さらに少年自身を扱きあげる。


「ほら、遠慮せずにイけよっ!!」

「!! んぅ〜〜っ!…ん…んぅ、んぅううーーー!!」

急激に絶頂へと導かれ、少年は抑えることなく、その精を俺の手の中へ吐き出した。


「は…、いっぱい出たな」

「嘘だ…こんなの、……間違ってる…うそ…うそ、だ」


掌に広がった精液がねちゃりと音を立てる。
少年は譫言のように言葉を繰り返し、手で顔を覆いながら絶望に暮れている。
その目は虚ろで、光を失い空を写していた。


「(…ざまぁみろ。俺に逆らうからだ…)」


でも、自分でも分かってはいるのだ。
レッドとこの少年は似ても似つかない存在だと。
なのに、先ほどの自分は彼とこの少年を無意識に重ね合わせていた。

自分がやったのはただの八つ当たり、腹いせだ。

いつも先を行っていた自分が、過去にレッドに追い抜かれたように、今度はこの少年に追い抜かれるのかと、思った。
力で捻じ伏せなければ、自身の劣等感を払拭することが出来なかった。


「はっ、……馬鹿みてぇ…」


情けない自分を嘲笑するが、何もかもが、もう遅かった。


「(どうしてあの時、自分がレッドに負けてしまったのか、今なら分かる気がすんな…)」

先程凌辱し放置した少年を見遣る。
彼は射精した解放感からか、それとも蹂躙されたことによる精神的なダメージが大きかったからなのか、ぐったりとしたまま意識を失っていた。
そんな彼を優しく抱きかかえ、自分が乱した身なりを整える。


「…ごめん、な」


意識を失った彼を相手に、自身の非を詫びる。
面と向かって言えない自分が、どうしようもなく情けなかった。



(それは己の劣等感故)



三年前のあの場所から、俺は一歩も踏み出せていない。