※これの派生作品(←BL注意!!) 「秘密基地に遊びに来ない?」 電話越しに聞こえてきたのは、つい最近隣に引っ越してきた少女の声だった。 ホウエン地方には流行っていない電話、ポケギアは彼女から貰った物だ。 最近は外に出ず家に籠りきりだったからか、彼女の声を聞くのはひどく久しぶりな気もする。 「別にいいけど、…なんで?」 「最近秘密基地の改造にハマっててね、どうせなら誰かを招待してみようかなって。それに、ユウキ君のポケモン図鑑も見てみたくて。…ダメかな?」 「俺は最近ポケモン集めてないからあんまり役に立たないと思うけど…」 「それでもいいよ。それに、久々に二人きりで話もしたいし」 不意打ちとも言える彼女の言葉に、俺の心臓はどきりと躍動した。 二人きり、その言葉に深い意味はない。多分。 彼女のことだから、俺の母に気を使わせまいとする心遣いの表れなんだろう。 それでも、俺だって年頃だ。異性と二人きりは普通にドキドキする。 そんなことは露知らずか、彼女は陽気な声で話し続ける。 「それにね、もうユウキ君用にミズゴロウぬいぐるみとか用意してあるんだよ?」 「べ、別にぬいぐるみなんか好きじゃない」 「でも、すっごく可愛いんだよ。一回だけでいいから来てよ」 「………分かった。準備するから待ってて」 「うん!ヒワマキシティの近くにあるから、ポケモンセンターまで迎えに行くね。じゃあ、また後で」 プツッ、と味気なく切れた通話口を見つめ、溜息を吐く。 「………」 とりあえず相棒のポケモンやリュックを背負い出発の準備をする。 身だしなみのチェックはこれでもかと思うくらいやった。 別に、格好良く見られたいとかじゃない。あくまで最低限の身だしなみをしただけだ。 「よし、行くか」 オオスバメを出しホウエンの空へ舞う。 久々に会う彼女は、どんな反応をしてくれるだろうか。 考えるだけで胸がドキドキする。これじゃまるで、初デートのカップルみたいじゃないか。 「(……いつか本当になればいいのにな)」 視線の先に、ポケモンセンターの前で手を振る彼女が見えてきた。 勇気を出してみようか? そんな考えを見抜いたかのように、オオスバメが声高に鳴いた。 ポケモンに励まされるなんて、なんだか情けない気もするけれど、この気持ち、しまっておくには大きくなりすぎた。だから、今日こそ言うんだ (「君が好きです!」) 彼女の驚いた顔、きまずい雰囲気 |