※微妙に惑星クレイパロ
※アイチ独白
※BBが封印されてからの設定





たとえば君が海の底で生きているのであれば、僕はこの足を切って魚になるよ。

そうして海に沈み、深層へ向かうほどに君の温度が近付くのであれば、この果てない闇に溶け彷徨う陰にだってなってもいい。

振り返れば、そこには確かに君がいて、僕に微笑みかけてくれる。

そんな今が無いことなど分かっている。

分かっているけれど。

たとえば僕のこの言葉が君に届くのならば、僕は声帯さえ捨てても構わない。

君と過ごした時間、想い。

君がくれた温もり、愛。

それさえも鮮やかな傷にさえならずに消えてしまうというのなら、そんな今なんていらない。

これは、罰なのだろうか。

自身の無力さに絶望し、未知の力に溺れ一度は手酷く彼等を突き放した僕への罰なのだろうか。

なら、その罰は君が拭って。

そうして力強く、それでいて温かく優しいその温もりに抱かれて、また眠りたい。

幼い頃、君に縋るように抱き付き、甘えるように夢の中へ旅立っていった時のように。

その大きな掌で、また僕の頬を撫でて。

そうしなければ、ほら。

妖しく光るその光に捕らわれて、僕の記憶が蝕まれてしまうから。

優しく僕の名を呼ぶその声も、甘く愛を囁くその声も、雑踏に消えてしまう前に。

手遅れになる前に、早く。

君や他の人との繋がりの記憶が僕の中から抜け落ちてしまう前に。

どうか、どうか。



(君に届いて)



僕のこの小さくて悲痛な聲よ。