※マジェスティとアイチ ※相変わらず捏造1000%です 息を飲むほどに青い空の下、僕は惑星クレイの大地に降り立った。 そんな僕の前に姿を現したのは、今まで見たことの無い、けれど確かにロイヤルパラディンに属するユニットだと確信させる騎士。 そして、いつも僕が『分身』と呼ぶ、白き勇気の剣士によく似た面影がある。 「もしかして、君は……ブラスター・ブレード、なの?」 「ええ。そうですよ、マイヴァンガード。もっとも、今の私は『<マジェスティ・ロードブラスター>』という名ですが」 今まで見慣れていた白銀の鎧ではなく、仄暗い配色の鎧を身に纏った僕の分身は、そう言ってふわりと微笑みながら僕を見下ろす。 その手に携えている剣も、かつての彼の名を冠す勇気の剣でもなかった。 「その姿は……一体…」 「この名と剣は、私の元々持っていた力と、私を対を成す黒き剣士の覚悟を糧とする力と剣を受け入れたことにより、私の内に新たに宿った力です」 太陽の光を受けてきらりと光る白刃を見つめながら、彼は少し物憂げな表情で俯く。 その瞳の奥に揺らめくのは、かつて勇気の名を奪い合い、そして彼にその名を託した黒き剣士<ブラスター・ダーク>なのだろう。 「そっか…。ブラスター・ダークは、君を認めたんだね」 「いえ、違うと思いますよ」 「じゃあ、どうして君に力を…」 「それは、私達二人が互いに肩を並べようと、そして歩み寄ろうとしたからです。きっと、心の何処かではまだ彼は私を憎んでいる。けれど、その憎しみの心は今は彼が前に向く為の良い糧となっているのです」 かつては相反していた二つの心。それが今一つとなり、新たな力を生み出した。 互いに歩み寄り、理解し合おうとする心が、今の僕の分身を生み出したのだと思うと、なんだか寂しくもあり、嬉しくもある。 彼、マジェスティ・ロードブラスターの言う通り、ブラスター・ダークはまだ彼を憎んでいるかもしれない。 『認めているわけではない』と、彼は言った。それは<ブラスター・ブレード>としての彼が今でもブラスター・ダークを良きライバルだと思っているからかもしれない。 そして、ブラスター・ダークに存在するプライドを守る為でもあるのだろう。 『認めたわけでは無い。けれど、理解しよう、互いを』 言葉を交わしたわけでは無いだろう。きっと、覚悟を糧にする黒き剣とその力を受け取った時に交わした、声無き会話で二人は分り合った。 そこには人間の僕では分り得ることの無い“絆”が存在するのだろう。 その絆が、今度は僕の力になる。 「貴方は言いましたね。彼等、シャドウパラディンも自身の『仲間』だと…」 「君達にはひどいことをしたと思ってる…。でも、僕は彼等を使うことで学んだこともあるんだ」 「ええ、分かっています。私も貴方が彼等を導きあの場で対峙しなかったら、一生あのまま、互いに憎みあったままになっていたでしょう」 かつて彼等、聖騎士団の仲間を手酷く扱ったことを思い出したように、彼は徐に口を開く。 雀ヶ森レンも持つ不思議な能力、“PSYクオリア”に溺れ、人を貶め、傷付けていたかつての自分を思い出し、僕はもう何度目か分らない謝罪をする。 けれど、それで学んだことも沢山あった。 ヴァンガードファイトとはどんなものであるものなのか、自分がどんなファイトをしたいのか。 自分の最初の目標が、なんだったのか。 マジェスティは、そんな僕の頭を撫でながら「こちらこそありがとう」と言った。 彼も、そして聖騎士団と漆黒の騎士団の仲間達も、そうしてぶつかり合う場があったことで、互いを分り合うことが出来たとも。 「四年前に櫂トシキから与えられ、出会った姿ではありませんが、貴方は変わらず、私のことを『分身』と呼んでくれますか?」 不意に投げ掛けられた、彼の問うような声。 不安そうにこちらを見遣る彼に、僕は安心させるように真っ直ぐに彼を見つめ返す。 四年前に櫂君からもらったイメージは、昔よりも大きな力を携えて僕の手の中にある。 今まで光の剣士として共に歩んできたけれど、今日からは新しい君と共に行こう。 僕は君だから、君達だから共に歩みたいんだ。 光と闇をこの胸に、その胸に共に受け入れて。 例え君の姿が変わっても、その想いだけは変わらないよ。 「もちろんだよ。これからよろしくね。<マジェスティ・ロードブラスター>」 にこりと、ようやく浮かべることの出来た笑顔を彼に向け、右手を差し出す。 「こちらこそ、よろしくお願いします。マイ、ヴァンガード」 その手を取り、恭しく、そして忠誠を誓うように彼は手の甲へ口付けを落とす。 その仕草に若干の羞恥を感じながらも、僕はこれから立ち向かうべき相手へと瞳を見据えて。 (立ち上がれ!僕の『分身』!) さあ、一緒に行こう! 新たな僕の分身、<マジェスティ・ロードブラスター> |