※個人的な贈り物
※幸ちゃんに捧げる!
※しかも2Pあるよ!





(Said.緑)


「何、してんだよ」


雨が降りしきる空を見上げたまま、だらしなく口を開いたままの恋人に俺はそう問い掛けた。




















「助かりました。あそこでグリーンさんが通りかからなかったら長いことあの場所で足止め食らってましたからね」

「飛行ポケモンとか持ってなかったのかよ」

「持ってましたけど、こんな雨の中飛ばせるのは可哀想だしヘタしたらオレも風邪引いてましたからね」

「まぁ、そうだけどさ」


こいつを見かけたのは、本当に偶然だった。
今日はジムの挑戦者もいないし、外はこの通りあいにくの雨模様だから早めにジムを閉めて家路を辿っていた俺の目に、偶然に止まった見慣れた後ろ姿。

しゃがみ込んで空を見つめるゴールドの背中を叩いて、一つしかない傘に無理矢理引き入れた。
今は、他愛の無い話を交えながら、ここから近い距離に位置する俺の家へと向かっていた。

そんなに大きくない傘だったからか、良く見れば俺とゴールドの肩が雨で少し濡れていることに今更気付いた。
でも、ゴールドは話に夢中でまだ自分の服が濡れていることに気付いていないみたいだ。


「…………」


そっと、ゴールドにバレないように傘を彼の方へ傾ける。
結果、今度こそ俺の肩が濡れる面積が広くなったが、恋人であるこの少年が風邪を引くよりは断然マシだった。


「なんか、恥ずかしいですね。相合傘って」

「そうか?恋人同士なんだから別に普通だろ?」

「………」

「っ!? ど、どうしたんだよ急に」

「いえ、そう言われればそうだなと思って。なら、オレがこうしても全然いいですよね?」

「……いいよ」


途中くすりと笑みを零しながらゴールドが放った言葉に俺は特に意識せずにそう返す。
まぁ、この状態が他の誰かに見つかったら少しは恥ずかしいとは思うが、それでも俺はこの状態が少しでも長く続けばいい。なんて思う訳で。

そんなことを考えていたら、不意に俺の腕に暖かくて柔らかいナニかが当たった。
ほんの少しの重みを伴ったそれに視線を向ければ、そこには俺の腕に自身の腕を回してこちらに寄り添うゴールドの姿があった。

急な彼の行動にさすがに驚きを隠せなかった俺は、動揺したまま彼へと問い掛ける。
けれどゴールドはそんな俺を見ることなく、すり、と腕に頬を寄せたままぽつりと呟いた。

それ以上彼の口から言葉は零れなかった。
だから俺も、それ以上は言葉にはしなかった。



(愛、合い、傘)



二人でそっと、優しい雨と想いが降る道を歩いて帰った。



(Said.金)