※スペグリゴで学パロ ※個人的な贈り物! ※わかちゃんに捧げる! 「……あれ、グリーン先輩?」 なんの気なしに学校の中庭をうろついていた時、オレは見知った顔を見つけて立ち止まる。 確認の為にその人物の傍まで歩み寄れば、それはやはり自身の先輩であるグリーン先輩だった。 彼は満開の桜の木の下で静かな寝息を立てており、その手には読みかけだったのであろう本が置かれていた。 ちらりと身に着けた時計に視線を向ければ、まだ午後の授業開始までは十分に時間があったので、オレは彼の寝顔を暫く眺めることにした。 「(しっかし、グリーン先輩は本当にかっこいいよな…)」 彼の傍にしゃがみ込みながら、ふとそんなことを思う。 寝ていてもその整った顔立ちはとても目立つ。 ただ、その寝顔が意外に幼い印象を受けると知ったのはオレにとっては驚きだった。 【眉目秀麗】【容姿端麗】、と、誰もが羨むようなルックスと能力を兼ね備えていて隙の無いこの先輩が、今こうして無防備な寝顔を晒しているということを知ったら彼をシル人間はどんな反応をするのだろうか。 正直、すごく気になる。 「(すんませんけど、写メらせて下さいね…)」 自分でもびっくりするほどの速さで制服のポケットから携帯を取り出して、素早く彼の寝顔を静かに撮影する。 指で携帯のスピーカー部分を抑えておいたので、彼には聞こえない小さなカシャリという音と共に、オレのフォトフォルダに彼の寝顔が保存された。 「(あとでレッド先輩やブルー先輩に見せてやろっと!)」 彼の澄んで綺麗な緑の瞳が見れないのは残念だったが、これはこれでいいだろう。 にやにやと笑いを浮かべながら、そろそろ教室へ戻ろうと彼の元を立ち去ろうとした時、悪夢はやってきた。 「………おい」 「ぎゃあっ!!」 聞こえるはずの無い声と急に腕を引っ張られたことでバランスを崩したオレは、情けない声を上げながら背中から倒れ込み、何かにぶつかった。 それを確認するためにおそるおそる顔を後ろへ向ければ、そこには寝起きで目が開き切っていない状態でこちらを睨み付けるグリーン先輩がいた。 寝起きで目が開いていないのもあるが、これは明らかに先ほど写真を撮ったということがバレているのだろう。 彼の視線が、そう物語っていた。 「お、おはようございます。グリーン先輩…」 「お前、今すぐ消せ」 「なんのことで…」 「しらばっくれるな。俺の寝顔を撮っていただろう」 しらを切り通そうと思ったが、それさえもぴしゃりと切り捨てられてしまった。 そんな空気に耐えきれなくてどうにか隙を付いて逃げ出そうとしたが、倒れたオレの身体はいつの間にか先輩の身体の間に入り込んでいて、腰には先輩の腕が回されていた。 オレ、まさにピンチ! 「撮ってませんって!つか、撮られるのが嫌なら寝なきゃいいんじゃないですか?!」 「俺が昼休みにどこでなにしようが勝手だろう。人の寝顔を撮ってなお開き直るとはな…」 「撮ってないですから!」 「そうか、ならその携帯のフォルダを見せてもらおうか」 「う…っ!」 まるで差し出せとでも言いたそうに手を出したグリーン先輩に、オレはとうとう窮地に立たされた。 だが、せっかく勝ち取った戦利品(?)ここで渡すわけにはいかない! なんとかしてこの状況を打破できないかと思考を巡らせていれば、ふぅと小さなため息が聞こえてきたと同時に、オレの身体と視界は回り、オレの目の前にはグリーン先輩と桜の木とその隙間から空が見えた。 「……ちょ、グリーン先輩?!」 「初めから素直に謝っておけばいいものを……。どうしてもしらを切るつもりなら、今度は身体に聞いてみよう」 「っ!? ま、待って下さいよ!授業始まる…っ」 すっかりその気になってしまった彼の気を逸らそうと声を掛けたのと同時に、遠くの方から午後の授業の開始を告げるチャイムが鳴り響いてきた。 それを聞いたオレの顔は蒼白に、対する先輩の顔はにやりと人の悪い笑みを浮かべてオレへと迫ってきていた。 けれど、何故だろうか? さっきまで見えていなかった緑色の瞳からは逃げることが出来なかった。 (軽はずみな行動はするもんじゃない!) そのあと?ああ、美味しく頂かれたさ! |