※ついったで盛り上がったグリゴで結婚式





「やっぱり、不恰好ですか…?」

「そんなことねぇよ。…その、…俺こそごめんな?こんなので代用して…」

「これで十分ですよ。綺麗です」

「そっか。ならいいや」


そう言ってふわりと微笑んだゴールドを、暖かな木漏れ陽が優しく照らした。

人気のない、まして神父や牧師のいない教会に俺達二人はいた。
ここで俺達が今行おうとしているのは、ささやかな結婚式。
参列者は誰もいない。ステンドガラスを通して教会中に広がる光だけが、今の俺達を祝福しているだけだった。

ガラスで彩られたマリア像のすぐ下に立った俺の横に、並ぶようにしてゴールドも立つ。
ゴールドのトレードマークでもある後ろに被った帽子の上には、俺が与えたベールが載せられており、光に反射してキラキラと光っていた。

それは花嫁が身に着けるような高価でしっかりとしたベールではなく、ただのレースのカーテンだが。
それでもゴールドは何も言わず、そして外すこともせずにじっと俺を見上げてくる。


「始めましょうか」

「ああ、……」


彼のその言葉に応えるように、俺達は互いに向き合って見つめ合う。


「良い時も悪い時も、」

「病めるときも健やかなる時も、」

「死が二人をを分かつまで、」

「愛し慈しみ貞節を守ることを」


『誓います』


誓いの言葉を交互に掛け合い、最後の言葉が重なった後、俺はゴールドの顔を覆っていたベールを退け、身体を屈ませて彼の唇へ自分のそれを優しく重ねた。
やがてゆっくりと重ね合わせた唇が離れ、俺はゴールドの手を引いて教会の外へと歩き出す。


「!? お前ら……」

「あ……」


そうして外に出た俺達を迎えたのは、手持ちであり相棒であるポケモン達だった。
みな、それぞれの手や口に色とりどりの風船を持っており、俺達の姿を確認するとにこりと笑ってそれを空へ向かって放った。

その風船達はふわふわと空へ浮かび、やがて消えてしまったが、それでも空の青に散らばった風船の鮮やかな色は俺の、そしてゴールドの目に焼き付いた。


「みんな、……ありがとう……」


不意に聞こえてきたゴールドの声に彼へと視線を向ければ、嬉しそうににっこりと笑っていた。
その笑顔を見ながら、俺は心の中で強く願った。



(笑顔の君に誓う)



ずっと、ずっと、君を幸せにするよ。