※『ひたすら』様との相互記念文!
※本人(鶏幸)様のみ持ち帰り可





ゴールドはきらきら、している。


「ん……ぁ、」


ついでに言うと彼自身が暖かい。
合わせた唇や抱き締めた身体も温かいし、それに、笑った表情も意外に柔らかくて俺はとても好きだ。


「んん、……ふぁ…、ん…んんんっ!」

「ん、…悪い」


とんとんと背中を叩かれたので、俺はゆっくりと名残惜しむようにその唇を少し啄んでから離す。
そうして見つめた目の前のゴールドは未だにキスに慣れていないらしく、忙しなく息を吸い込んでいる。

そんなところが愛しい。と思うようになったのは、きっとコイツと出会ったからなのだろう。


「…どうした?」

「いや、それはこっちの台詞。……なんか、楽しそうだな」

「そうか?」

「だって笑ってるから」


ゴールドにそう言われて口元を触れば確かに少し口角が上がっていて、自分でも気が付かない内に笑っていたことに俺は驚いた。
急に笑った俺を不思議そうに見つめるゴールドは、やがて一人納得したようにうんうんと首を縦に振りながらにこにこと笑っていた。


「何がおかしい…」

「だって、滅多に笑わないシルバーが笑ってるから…嬉しくて、さ」

「人を能面みたいな言い方するな」

「でも、会ったばかりの頃はまさにそんな感じだったぜ?無愛想で、おまけに乱暴だったし…」


そう言われると返す言葉も無い。俺はぐうの音も出ず押し黙った。

確かに、俺とゴールドの初対面は散々なものだった。
まあ、その原因の大半は自身にあるのだが。

でも、今こうしてゴールドと恋人同士になって、互いの気持ちを通わすようになってから、俺は精神的に大きく成長したように思う。
初めは互いにぶつかり合う正反対な性格で、会う度に喧嘩ばかりしていた。
そのことを思い出すと、今度こそ本当に口角が上がったことを自覚した。


「くくっ……」

「なんだよ。オレ、なんか変なこと言ったかよ?」

「いや…。お前は可愛いなと思ってな」

「ばっ!? そ、そういうのは女の子に言えよな…っ!」


肩を揺らしてくすくす笑えば、今度はゴールドが訝しるように問い掛けてくる。それにからかい半分(本当は本音だが)に返せば、ゴールドは面白いくらいに顔を真っ赤にさせて言い返してきた。
そんな反応も可愛いと思ってしまうほど、俺はこいつに骨抜きにされたのだな、と改めて実感した。

ゴールドは、俺に色々なものをくれた。
コイツのくれたものは全てが太陽のようにきらきらと輝いていて、暖かくて、俺にとっては初めてのものばかりだった。

だからこそ、俺はゴールドに惹かれたのかもしれない。
捻くれて歪んでいた俺を、真っ直ぐに受け入れてくれたゴールドに。


「ありがとう、ゴールド」

「は…?な、何なんだよさっきから。……シルバー、今日はおかしいぞ?」

「馬鹿言え。俺はいつだって正気だ。……ただ、俺がこうしてお前といられるのも、こうして礼を言えるのも、全部ゴールドのおかげだからな。たまには素直に礼を言ってみたくなったのさ」

「……そ、……そっか」


さっきまでの甘い雰囲気が残る中、真剣な表情で話し始めた俺に、ゴールドは動揺しながらも照れ臭そうに頬を掻いた。


「俺が知らなかった愛情や信頼を教えてくれたのはお前だ。今の俺は、お前が作り上げてくれたんだ。でも、後悔はしていない。これが、俺の望んだ姿だから」

「それは大げさ過ぎじゃ…」

「いいや。こんなに温かい心をくれたゴールドは、俺にとって大切で、かけがいのない存在だ」

「シルバー…」

「だから、」

「っぁ……」


ずっと抱き留めていた身体を再度引き寄せて、互いの体温を分け合うように強く抱き締める。
とくんとくんと早鐘を打つ二人の鼓動が、今日はやけに心地良かった。
ゴールドもその暖かさと心のリズムが心地良かったのだろう。俺の胸元にすりすりと擦り寄ってきた。


「もう、俺の傍から離れるな」

「…うん」

「ずっと、俺の横で笑っていろ」

「うん」

「……愛してる」

「……オレ、も」


そしてゴールドの耳元へ囁きかけるように、けれど束縛するように、強く命じる。
ゴールドも俺の言葉に強く、ゆっくりと溜めるように頷くのを確認してから、俺達はどちらともなくキスを交わした。



(mf,brillante《やや強く、輝きをもって》)



その恋は、マーチのように賑やかに。