しょた | ナノ
 


 せぇくんとだいくん






「ほーら、テツ!パスパス!」

「んーっ、うーっ!」


ぽんぽんぽん、とボールが跳ねる音がして力なく転がるボールはテツヤの目線の先にいる青峰のもとへ。

胡座をかいて腕を伸ばす青峰が、転がってきたボールを手に取った。


「テツ、上手いなお前〜!」

「やったです!ぼくすごいですか?だいくん!」


ぱたぱたと今にも転びそうな勢いで青峰のもとへと走っていく。

頬をピンク色に染めて目をきらきらさせているテツヤの頭を撫でてにかっと青峰は笑った。


「すげえよ!バスケの才能あるぜ、テツ」

「だ、だいくんのぷれーをみて、せぇくんといっぱいれんしゅうしました!」

「俺の?ははっ、俺の真似すんのは百年はえーよ!」


うふふ、あはは、とまるで二人の回りに花が飛び散るようにテツヤと青峰は二人の世界に入っていた。

少し遅いホームルームを終えて体育館へ来た黄瀬は驚きで目を丸くした。

きっと事情を知っているであろう緑間に、黄瀬はこそこそと近づく。

シュート練習している緑間に小声で聞いた。


「み、緑間っち!赤司っちの目から血、口から砂が出てるのは幻覚っスか…!?幻覚っスよね!?」

「さあ。俺にも同じように見えるが、幻覚なのかもしれないのだよ」

「てかなんでそんな状態になってるんスか!?」

「見てわかるだろう。青峰と黒子がきゃっきゃうふふしてるからなのだよ」

「あ、青峰っちずるい…!じゃなくてそれで赤司っちあんなことになってるんスか……」


赤司がボールを、腕の血管が出るほど強く握っているのが分かる。

それほどまでにテツヤが他人と接してるのがそんなに嫌なのだろうか。もはや病気だ。


「だいくんだいくん!つぎはしゅーとをおしえてください!」

「シュートぉ?テツにはまだはえーよ」

「だいくん〜っ」


二人の会話を聞いて、黄瀬が涼しい顔してシュート練習をする緑間の腕に飛びついた。

いつもなら綺麗に弧を描いてゴールにシュートされるはずのボールが、ゴールの途中で失速し落ちた。


「〜っ!邪魔をするな黄瀬!」

「だいくんてなんスか!?初めて会ったときはあおくんだったよね!?」

「ガキの考えることは知らんっ!自分の認めた奴だけ名前呼びなのだろう、どこかの黄色い犬のようにな!」

「黄色い犬って俺スか!?ひどいっスよ緑間っちぃ!」

「うるさいのだよ!お前早く練習するのだよ鬱陶しい!」

「うわぁあぁああんっ」


体育館に黄瀬の鳴き声…もとい泣き声が響く。

そんな黄瀬の頭にどこからかボールが飛んできて直撃した。


「きゃいんっ」

「うるさいなぁ、躾がまだまだ足りなかったかい……?」


ゆらり、と座り込んでいる黄瀬の前に赤司が立ちはだかった。

黄瀬がぶるぶると身体を震わせ、緑間に助けを求めるが華麗に無視された。


「ほんっとーに……なあ?頭にこないかい?黄瀬ェ」

「ひっ」


ちゃきちゃきとハサミを目の前に突き付ける。

左右色の違う赤司の瞳には光がなく、まるで人形のようだった。

(か、確実に殺られるっス……!)

しゅ、と赤司がハサミを振り上げた。


「せぇくーんっ」

「「!?」」


二人の後ろから天使の声が聞こえた。

ぐるんっと凄まじい勢いで振り返る。


「ぼく、せぇくんとれんしゅうしたぱすちゃんとできましたよ!つぎはしゅーとをいっしょにれんしゅうしてほしいです!」

「あ、当たり前じゃないかテツヤぁっ」


さっきまで鬼の形相だった赤司の顔が崩れる。

そしてハサミを置いてぎゅうっとテツヤを抱きしめた。


「テツヤならすぐに上達するぞ。俺が教えるんだからな!」

「せぇくんとだいくん、だいすきです!」

「え゛……ッ」


((ああ…またどす黒いオーラが……))



:せぇくんとだいくん

なんかもう…話がまとまってない…!








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