「テツヤ」
みんなと同じ練習量をこなしたあと、タオルで汗を拭いていた僕の名前を赤司くんが呼んだ。
見上げたそこには見慣れた赤司くんの綺麗な顔。
びっくりしてどきっ、よりも胸が高鳴ってどきっ、が勝った。
「大丈夫かい?」
「大丈夫です。すみません、体力がなくて心配かけてしまって」
「それは別にいい。……なにも無理して、キセキ五人と同じ練習量をこなさなくてもいいんだぞ。僕が考えたメニューをすればいいのに」
「赤司くんが、せっかく考えて下さったメニューもこなしたいですが……キセキの五人に紛れてプレーするのなら、やはり同じメニューを、と」
「ふ、馬鹿だなテツヤは」
「馬鹿、って何ですか赤司く……」
ふに、と
特に構えてもいなかった、無防備に等しい僕の唇に柔らかいそれが重なった。
でもそれは一瞬の出来事で、すぐにその柔らかさと温かさは去って行った。
「あまり無理しないでくれ。僕もあまり心配したくないからね」
「……すみません」
「それと、ちゃんと休むこと。……今日、僕の家に来るかい?」
ゆっくり休めって言ったのは赤司くんなのに。
家に来るかい?
は、イコール僕に抱かれるかい?って聞いているようなものだ。
タオルを握りしめてしばし動揺していると、先ほどまで練習していたにも関わらず冷たくなっている赤司くんの手が僕の頬に添えられた。
赤と黄の互い違いの瞳が、見下ろしている。
「テツヤ」
「……はい?」
赤司くんは、にっこり微笑む。
「 僕の言うことは? 」
絶対、です。
:赤司様の言うことは?
見事にはまってしまった黒バス。
見事にはまってしまった赤司様。
サッカーには詳しいですが、バスケにはまったく詳しくないわたくしです←
赤司様の言うことは?
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