寒い中、冷たい風をきりながら僕は走っていた。
走って走って走る。
――早く、会いたかった。
「……っ」
事務室へ行って許可を得た後、第三体育館へまた走った。
タンタンタン、とボールを打つ音が聞こえて来て体育館を覗くとそこにはちゃんと、テツヤがいた。
テツヤはボールを持って振り返る。
「二日前から、テスト前部活停止期間だそうです」
「そう、なのか」
「やっぱり、赤司くんには簡単でしたかねあれは」
眉を垂らして笑うテツヤに近づく。
テツヤの頬を包んで、額をくっつけた。
「……簡単すぎる。僕を馬鹿にしているのかい?」
「まさか。他に書き方がなかったんです。まあ、どんな書き方をしても赤司くんなら僕を見つけられると思いますが」
「当たり前だろう。僕が、お前を見つけられないはずがない」
ダン、と床にボールが落ちる音がした。
テツヤの冷たい手が、僕の手と重なる。
目を伏せたテツヤの睫毛に雫が乗っていて、ぽろりと落ちて行く。
「赤司くんの誕生日に、何をあげたらいいか、分からなくて」
「……別にいらないよ」
「緑間くんは僕があげたものなら何でも喜ぶんじゃないのか、って」
「お前がいればいいよ」
「そんなわけにはいきません。一生懸命、考えたんですけど……」
テツヤがゆっくりと俺から離れて、側に置いていた鞄の中から虹色の薔薇を取り出した。
「僕から赤司くんへ。“キセキ”の贈り物です」
虹色に輝く薔薇ごと、僕はテツヤを抱きしめた。
「こんなにうれしい誕生日はないよ」
耳元で、テツヤが笑う声が聞こえる。
薔薇を持ったまま僕の背中に手を回して、強く抱きしめられた。
「お誕生日おめでとうございます、赤司くん」
僕の誕生日に君がいることは、奇跡に等しいのである。
:レインボーローズ
虹色の薔薇の花言葉:
奇跡![](//static.nanos.jp/upload/s/stars65/mtr/0/0/20121217184607.jpg)
Happy Birthday,AKASHI!!!!!!!
これからもずっとずっと大好きです。
20121220 AKASHI's Birthday.
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