赤司誕生日小説 | ナノ







中学時代、大輝や涼太が好んで寄っていたストバス場へと足を運ぶ。

近づくにつれて、コンクリートにボールを力強くついている音が聞こえてきた。

ああ、この馬鹿みたいに強いドリブルの仕方は大輝だ。あいつはいつも力だけでバスケをしている。全く、体力馬鹿もいいところだ。


「もっと綺麗な音は出せないのかい、大輝」


フェンスに寄りかかって大輝を見ているピンク色の頭の隣に立つ。

桃井が僕を見上げて、くすりと笑った。

いきなり声をかけられた大輝のダンクの形が少し歪になりながらも、ちゃんとゴールへとボールが吸い込まれていく。


「お帰りなさい、赤司くん」

「ただいま。変わりなさそうだな、お前たち」

「そうかな。青峰くんは……変わったんじゃない?」

「いや、あいつは変わったんじゃない。戻ったんだ」


隣でふるふると小さく震えるピンク色の頭を僕は優しく撫でる。

その時、ガシャン、とフェンスにボールが飛んできた。


「さつき泣かせてんじゃねえ!」

「馬鹿。泣かせてるのはお前だよ」

「はあ!?俺ぇ!?」

「そうよ!大ちゃんのバカ!」

「てめ、さつきぃ!」


幼馴染でいつも一緒にいるというのに喧嘩が絶えないな、この二人は。

喧嘩するほど仲がいいというから、これはこれで二人の仲を取り持つ一種の形なのだろう。

見ていて微笑ましい。ただ呆れてはいるが。


「赤司くん、次はここだよ♪」


喚く大輝を無視した桃井が、バッグの中から二つ折りの紙を取り出す。広げてみると、そこには【公園なのだよ】と書かれていた。

大輝と同じくらい分かりやすい。むしろこれで誰が待っているか分からない奴がいるのか?


「あ。そういえば、赤司くんが中学のとき言ってたように、いまミドリンと一緒にいる王子様にカーディガン渡しておいたよ!」

「ああ、高尾くん……か」

「そう!すっごく喜んでたよぉ、彼」

「だろうね」


一度眼を使って真太郎の未来を見た時に、一緒に見えた彼。

……そういうのが好きそうな顔をしていた。

というのは冗談(9割がた本気だが)だが可愛い真太郎が頑張っている姿を見て僕も加勢しようと思ったまでだ。結果的にカーディガンを盗んだが。結果オーライだろう。


「赤司、やる」

「青峰くんが自分で染めるっていうから、私も染めてみたんだよ!綺麗にできてよかった」

「二人ともありがとう」


青色の薔薇と桃色の薔薇を受け取る。

どちらも本当に綺麗に染められているな。大雑把な大輝がこれを染めたのか……少し笑える。


「「誕生日おめでとう」」


両頬にキスを受けた僕は、四本になった薔薇を氷室さんからもらった紙に茎だけ包み、次の目的地へと行くためにストバス場をあとにした。



:ブルー&ピンクローズ

青色の薔薇の花言葉:神の祝福

桃色の薔薇の花言葉:清らかな愛情







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