∴ 三角関係! 「ちょ…っと、待ってください!」 部活前の部室。 少し遅れて来た俺が着替え終わって体育館へ移動しようとした瞬間、まだ部室に残っていた宮地先輩に唇を奪われた。 そして半ば強引に押し倒され、服の中に入れられる手を拒んでいる最中である。 「宮地先輩!いきなり何なんですか……っ」 口ではそう言いながらも、実は内心この状況をひどく喜んでいる。 俺は宮地先輩に好意を寄せていた。自分の気持ちの違和感に気が付いたとき、これはきっと先輩への憧れだと思っていたのだが、冷静に自分と向き合ってみるとどうも違うことに気が付いた。 先輩としての好きではなく、男性としての好きだったのだ。 宮地先輩はアイドルオタクなため、やはりちゃんと女性が好きで、可愛い子が好みで、男なんて範囲外だろうと思っていたため自分のこの気持ちは墓場まで持っていこうと誓ったところであった。 「やめ、せんぱいっ」 「……まじで不本意だけど」 「はい!?」 「俺お前のこと好きっぽい有り得ねえ」 「……はい?」 今告白みたいなものをされた気がしたが、気がしただけだろうか。 好きだという単語と有り得ないという単語が一気に聞こえたのだが。 「一回で分かれよ!好きだっつってんだろ馬鹿野郎!」 「……大事なことなのになぜ怒っているんですか」 「うるせえな!何回も言わせっからだろッ」 「だいたい仕掛けて来てなんなんですか!順番が逆なのだよ!」 「口応えすんな!さっさと返事よこせコラァ!」 「俺も好きなのだよっ!」 喧嘩腰の告白とはなんとも宮地先輩らしいのだよ。 ついこっちも喧嘩口調で返してしまったが、返事を強要してきた当の本人が真っ赤になってしまった。 「お……、そうかよ…」 「……今更しおらしくなってどうしたんですか」 「お前がまさかそう想ってたなんて思わなくてよ……」 「俺だって誰かを好きになることくらいあります」 良かった、と真っ赤な顔して笑う宮地先輩は押し倒している俺に顔を近づけてくる。 キスをするときは目を閉じるんスよ!と前に黄瀬が言っていたのを思い出す。ゆっくりと目を閉じた時だった。 「真ちゃーん、宮地さーん!大坪さんがマジでキレる5秒ま……」 「た、高尾……」 高尾の声がして目を開ける。顔を傾けて部室のドアを見れば、そこには俺たちを呆然と見つめる高尾がいた。 「なにしてんすか、宮地さん」 「キスして告ってまたキスしようとしてた」 「…………」 押し倒されている俺と、高尾の目が合った。 「宮地さん抜け駆けひでぇぇえええええ!」 「……は?」 いきなり叫びだした高尾に、俺は素っ頓狂な声しか出せなかった。 ずんずん近寄ってきて俺を押し倒す宮地先輩を俺の上からどかす。 「なにキスされてんの!オレもまだしたことなかったのにーっ」 「た、高尾?」 「宮地さんが先にしたならオレもいいよね?」 「はあ!?」 ふに、とした感触。 高尾の髪の毛が顔にかかっている。 ――高尾にキスされていた。 「た、たかっ」 「真ちゃんちょう可愛い……宮地さんなんかやめてオレにしなよ?」 「な、なにを……!」 「こいつは俺んだよばぁか」 「抜け駆け禁止って言ってたじゃないすかぁぁああ!」 とりあえず分かったことは、これから面倒なことが起きるということだ。 :三角関係! え?宮緑ってなに??可愛ければいいの?? な感じで書きましたすみません。 めのり様、このたびは素敵なリクエストありがとうございました!! |