双熾 1
「夢子様」


恍惚な表情を浮かべ双熾は夢子の髪を梳く
髪の毛一本一本と全てを愛するように丁寧に


「そうしくん」

「はい。なんですか?」

「ちよちゃんは?」

「凛々蝶様は学校に行かれましたよ」

「わたぬきも?かるちゃんも?」

「はい」


夢子の質問に双熾は内心苦く思う
自分と一緒にいるのに、今彼女の傍にいるのは自分なのに。他の人を気にかけて欲しくない、自分を見て、自分だけを想って欲しいなんて、そんな我が儘


そんな思いを胸に自嘲的な笑みを浮かべる双熾は次の夢子の言葉にハッとする


「ゆめこはなんで、ちよちゃんたちといっしょにがっこうにいかないの?」

「、え」

「なんで?」

「あぁ……夢子様はまだ幼いですから凛々蝶様達とは違う学校に行くんですよ」

「えー!だってまえはいっしょだったよ?」

「、」


今、彼女は、なんと言った?

この時代の彼女とは双熾も含め妖館の全員が初対面だ
前世の記憶を思い出させようとするなんて以ての外


もしかして、彼女は、覚えている……?


「夢子さま、」


双熾の声が震える


「あ、れ?まえっていつだっけ?」


ひゅ、と双熾の喉がなる
夢子の記憶が朧気な事に安堵からか残念だと思ったからなのか


「夢子様、気のせいですよ。凛々蝶様達と学校に行きたいという思いから前からご一緒だったように勘違いをなさっているだけです」

「そ、うなのかな…?」

「はい、きっと」

「そうしがそういうなら、そうなのかな」


可愛らしく花が咲くように笑う夢子に双熾も綺麗に笑う


彼女は何も思い出さなくていい
主を守る為だからと君を残し散っていった酷い自分を、最後まで君を守れなかった情けない自分を、思い出して欲しくない

夢子様を一人残し去って逝った自分を彼女はどう思ったのか
考えたくない、想像したくもない



だから、今のままでいいんだ
純粋な瞳で自分を見上げる無知で無垢な彼女のままでいい

一から自分が育てる
自分しか見えないように、自分だけを思うように、全てを自分に委ねてくれるように、自分しかいないのだと想ってもらえるように

大事に大事に傷付かないように自分色に染めて甘く蕩けるみたく沢山愛する


「夢子様」

「ん?」

「勝手に何処かに行ってはダメですよ?ずっと僕に、傍にいさせて下さい」

「?」


意味が分かっていない夢子に双熾は高揚する
何も知らない無知な少女
この世の穢れを知らず真っ白なままの彼女を自分がどうとでも育てられる
何色にでも染められる


「夢子様は僕が好きですか?」

「うん!大好きだよ!」


君がそう言ってくれるなら、誰にも渡さない。誰にも色付けさせない


「愛しています」


やっと会えた愛しい人
やっと手に入れた愛しい子


もう、絶対に離さない



綺麗な笑みの下にある双熾の本当の顔を夢子は知らない


醜くも美しいその想い


白は何色にも染められやすい
彼女が双熾と同じ色(きもち)に染まるまで、きっと、そう時間は掛からないだろう





―――――
途中挫折_(X3 」∠)_
双熾と同じ色=ヤンデレです
幼い子がヤンデレでもいいじゃん!可愛いじゃん!ねっ!

きっと双熾がそう調教…………教育してくれるって信じてます(・∀・)+キラーン


◇◆2012.05.27

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