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長い、長い、百鬼夜行のお話
大切な人を失い、大切な人にまた巡り合う変わらないようで変わった今を生きる自分達


「終わった、?」

「そうね、凛々蝶ちゃん。長い悪夢がやっと終わったわ」

「誰一人失わないで、皆の記憶も戻って本当に良かった。皆、いるな」

「っざけんな!!!」


反ノ塚の言葉に渡狸が顔を歪め怒鳴り付ける


「みんなじゃ、ないよ……ゆめちゃんが、いない」

「…、………」


カルタの言葉にその場にいた人達は悲痛に顔を歪め俯いた


いない、一人だけいないんだ

大切だった女の子が
大好きだった女の子が
たった一人の女の子が

いなくなった


「っなぁ残夏!!何か、何か視えないのかよ!夢子のこと、何か、視えないのか…」

「、うん。残念ながらゆめたんのこと視えないかな〜」


夏目の言葉は絶望を皆に突き付けた
視えないということは、もしかしたら存在しないということ

夢子が、この世に存在しない

泣きたくなった


「姿を見せないとは何と焦らしプレイ!ドS!」

「蜻蛉様」

「何だ?」

「貴方なら彼女の家を調べられる筈です。調べてはいないのですか?」

「フッ、調べたさ」

「どうだったのですか」

「知りたいか?」


蜻蛉は意味あり気に笑う
双熾はピクリとも表情を変えず蜻蛉を見据える


「フハハハッだが教えない私はドS!!」

「刺しますよ」

「貴様も中々Sだな。悦いぞ悦いぞー!」

「御狐神くん落ち着け!!」


双熾はにこりと綺麗な微笑みを作り蜻蛉を持っていた日本刀で刺そうとするが凛々蝶に止められ渋々、心底不本意極まりないと言った感じで日本刀を鞘に納めた


「でも、あの変態のあの物言い……もしかして夢子ちゃんは生きてる…?」

「――――ッ」

「そうなのか!!?」

「蜻たん、」

「私に懇願するか?悦いぞ悦いぞー!」

「いい加減にしないと凍らすわよ」


それでも蜻蛉は何も話さなかった
皆釈然としない気持ちで、だけど淡い期待を胸に一つの物語の幕を下ろした


長い、長い百鬼夜行のお話は終わった
終わったら?

終わったら次は違うお話が始まる
次のお話は何だろうか

小さい女の子のお話

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