初めて見た時、恋をした
さらさらの銀色の髪、儚げで憂いを含む表情、何より、左右で違う色の瞳
その瞳に見つめられ、自分は彼女に惚れるのだと漠然と思った



「双子」

「っ鯉伴様」


俺が声を掛けると嬉しそうに顔を綻ばせる彼女
人間の利己のせいで閉じ込められている俺のお姫様


直ぐにでも連れ出したい
双子にこんな狭い世界は似合わないから。陽の光の下笑う彼女は何よりも美しいだろうと俺は確信していた



だが、双子はこの手を取ってはくれない



「鯉伴様?」

「あぁ、いや……何でもないさ」

「そうですか…、余り無理はなさらないで下さいね」

「分かってる」


くしゃりと頭を撫でるとはにかみながらも慎ましく微笑む双子が可愛くて愛しくて、どうしようもないと思った


「なぁ。今日は双子のことを教えちゃくれねぇかい?」

「私のことを、ですか?何も楽しいことなどありはしないと思いますが」


双子の顔に陰りが落ちる
それでも俺は双子を知りたいんだ
俺は彼女のことを何も知らない。だから何でもいいから知りたかった


きゅっと双子の手を握り自分の口元に運ぶ
願うように、乞うように掌に口付けた


「あんたのことが知りたい」

「、」


頬を赤らめ恥じらい俯く双子
じっと見詰めていると根負けしたのか口を開く


ぽつり、ぽつりと彼女は自分のことを語る
物心ついた時からここにいる、自分は外の世界を知らないと


そして


「私は転生する狐です」

「へぇ」

「前世の記憶はありませんがその時も、貴方みたいに私の所に通って手を差し伸べて下さった方がいたような気がするんです」


それは前世の彼女に惚れていた奴がいるということ
双子の言葉に胸に靄が広がる
自分以外の男が双子に近付き手を差し伸べていたなんて、考えただけでも腸が煮え繰り返りそうだ


「その時、あんたはその手を取ったのかい?」

「…………分かりません」


何とか苛立ちを抑え込み彼女に問い掛けるも苦笑いで返された


そいつは彼女を救えたのだろうか、彼女を幸せにしたのだろうか。考えても切りがない


だったらいいさ
前世なんて関係ねぇし俺は今の双子に惚れている


前の記憶が残る程二人が愛し合っていたのだとしても、その野郎がどれだけ双子を愛していたとしても


「俺は今のあんたが好きだ」


顔を真っ赤に染め金と水色の双眸を潤ませる双子に口付けを落とし深く絡ませ押し倒した



その日、俺は双子の純潔を奪った

TOP
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -