一年に一度しか一緒に過ごせない、織姫と彦星は毎日を何を想い、どれ程の寂しさで過ごしたんだろう


私は、彼と、一瞬でも離れるとこんなにも寂しい
また明日になれば会えるのに、この寂しさに押し潰されそうだ



「、会いたい」



一瞬がこんなにも寂しいよ





――♪――♪


「っ」


携帯がけたたましく鳴り響く
気だるげに取った携帯には、さっきまで傍にいた愛しい人の名前



「、もしもし?」

「…ねぇ今、寂しいって思ってた?」

「……、…」

「やっぱり」

「トーマ先輩、」

「ん?」

「寂しい、です」

「………うん、俺も」

「傍に、いて欲しい」


私が言い終わるか否かの時、鳴ったチャイム
まさかと思い玄関に走りドアを開けると


「こらっ!相手確認してから開けなきゃ危ないだろ」


目の前には愛しいダイヤの彼
怒った顔は私を見るなり綻んで、優しく微笑んでくれる


勢いよくぎゅっと抱き着いた
離さないで、離れないで、愛しいトーマ先輩


そんな思いを込めて、「大好き」と言うと頭に降ってきた柔らかい彼の唇



「俺も、ずっと傍にいて欲しいよ」

「、」

「一年に一度なんて我慢出来ないし、一日会えないだけで俺はダメなんだ」


そんなの、私だってそうだ


ぎゅっと私を戒める温かい鎖
絶対に離さないと言うトーマ先輩、絶対に離さないでと言う私


例えば君と
この先離れなければいけなくなるのなら神にさえ逆らおう


七夕の『た』



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