突発的な話 | ナノ



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「林檎さん、」

「ん?」

「辛いです」

「うん」

「苦しいです」

「うん」

「たまに自分が、トキヤなのかHAYATOなのか分からなくなります」

「……うん」


私(と音也)の部屋でベッドの上に座りながら優しく私を包み込み、そっと頭を撫でてくれる温かく柔らかな温もり
彼女の肩に顔を埋めながらぎゅっと縋るように抱き着く


「林檎さん」

「うん?」

「林檎さん、林檎さん、林檎さん…、…林檎」

「トキヤくん?」

「私を見てくれるのは貴女だけです」

「そんなことないわよ、貴方を見てくれる人は他にもちゃんといるわ」

「貴女だけ、貴女だけが私を見てくれればいいです…貴女が私の傍にいてくれるなら、私はそれだけで頑張れます」

「そんなこと言わないで。トキヤくんは世界を狭く見すぎ!」


(それは、トキヤくんだけに言えたことじゃないけれど)



林檎さんは少し切なそうに顔を歪める
違う、そんな顔をして欲しいんじゃない
笑って下さい
貴女が笑えば私は何でも出来るんだから
貴女の笑顔が私の全てなんだ



「林檎さん、」


そっと柔らかく滑らかな頬に自分の指を滑らせる
汚してはいけないような白い肌
自分も美容には気を使っているがこんなに綺麗な肌にはならない

林檎さんは何か特別なもので出来ているんじゃないかと疑ってしまっても仕方ないだろう


「貴女は、本当に綺麗だ」

「トキヤくんの肌だって綺麗じゃない」

「いいえ貴女程では…、あぁ喰べてしまいたい」


この白い肌に吸い付き自分のものだと赤い痕を付けれたら、

ごくり、生唾を呑み込む


「ちょっと!?、トキヤくん!」


我慢出来なくなり彼女の首筋に顔を埋める
私達はベッドの上にいたからこれ幸いと彼女を押し倒すと流石にマズイと思ったのか抵抗してきた


「私が手を出さないとでも思いましたか?貴女は無防備過ぎます…年頃の男の部屋で況してや二人きり、」

「トキヤくん!」

「林檎さんは私の気持ちに、いいえ私達の気持ちに気付いてますよね」

「、何の事かしら?」

「そうやってはぐらかす…いいですよ、貴女がその気なら無理矢理でも認めさせます」


そっと身体のラインを確かめるように撫ぜるとぴくんと彼女が反応する


「可愛らしいです」


きっと今私は蕩けるくらい甘い笑顔を浮かべているだろう
私を涙目に上目遣いで睨み付ける林檎さん
そんな顔で睨まれても誘われているようにしか見えないし、加虐心を煽るだけなのを分かっていないのだろうか


私が心配するのも可笑しな話ですが、大人なようで意外と無垢な彼女に心配が募ってしまう


「トキヤくん、本当に止めなさい…っ、今なら冗談で済ましてあげるから」

「それじゃ、意味ないじゃないですかっ」

「…っトキヤくん」

「認めて下さい、向き合って下さい」

「ひゃっ…あ、ん…っ」

「私達の、私の想いに」

「トキ、やぁっ…、」


林檎さんの身体を弄り愛撫を施す
彼女の太股にゆっくり手を這わせていくと林檎さんは目を見開き、その潤んでいた瞳から涙を一粒溢した


「トキヤくん、ダメっ!」


彼女のその叫びと扉が開く音が重なる
扉が開く、音?


「あれ、トキヤいるの?って何やってんだよ!」


次いで音也の叫び声が聞こえて私は一つ溜め息を溢す


「トキヤ!林檎ちゃんから離れて!」

「はいはい」


私が林檎さんから離れると音也が急いで彼女を抱き起こした
俯き震える林檎さんを心配そうに支える
もやり、自分が作り出した状況なのに彼女に触れる音也に嫉妬してしまう


「林檎ちゃん、」

「……………トキヤくん?」

「、はい」


何を言われるか、心臓がドクドク痛いくらい騒ぐ
嫌われてしまったか、退学にされてしまうか
それよりも、彼女の傍にいれなくなる事が怖かった

林檎さんに自分を見てもらいたい、この想いに向き合って欲しい
その想いが暴走したのは紛れもない自分の理性が思ったより脆かった為

その結果がこれか

自嘲的な笑みしか出てこない


そんなことをぐるぐる考える頭にガツンっと衝撃が走った


「いっ!!?」

「一週間私へのお触り禁止、プラス課題を二倍に追加」

「、え」

「それで今回の件はなかった事にするわ」


優し過ぎるんだ彼女は
だから私達は諦められない
いっそ強く拒否して、突き放してくれたら…と思ってもいない事を思ってしまう

分かってる
私達の為に林檎さんは私達の想いを見てみぬ振りをすること
だけどもどかしいんです
直ぐ傍にいるのに、手を伸ばせば届きそうなのに届かない


もう私はこの想いに押し潰されて、狂ってしまいそうだ


お願いです、林檎さん
私が狂ってしまう前にどうか、愛して下さい





―――――
トキヤンデレ\(^o^)/
うきゃあああ失敗した!音也くん空気ですみません(;;)
てかこれ微裏?
なんか微裏にもならないような気も……


◇◆2011.11.18


下におまけ有り



































おまけ



一週間も彼女に触れれないなんて無理です

だから私は考えました
何とか林檎さんに触れれる方法を……そして思い付きました



「リンちゃーん!」

「きゃっ」

「えへへ、リンちゃんと共演なんて嬉しいにゃー!」

「ちょっとHAYATOくん!お触り禁止」

「えー!僕『は』そんなの知らないにゃ!」


そう、HAYATOを使う事
お触り禁止されているのはトキヤ
ですからHAYATOには関係のないこと


「全く、調子良いんだから」


彼女の言う通りだ
この間彼女にトキヤとHAYATOの狭間で苦しんで縋っていたというのに

今はそのHAYATOを利用している


けどいいんです
貴女が私を少しでも気にかけてくれるなら、あれ程嫌だったHAYATOだって演じてみせますよ


「でも元気になってくれて良かったわ」


あの時のように優しく撫でられる頭
彼女を抱き締める力を強くした
こんな事をしていてもHAYATOだと周りからは微笑ましく見られ何時ものスキンシップだと思われるから少し、HAYATOが羨ましい


温かく柔らかい優しい温もり
この人に抱き締められるのも、抱き締めるのも大好きだ


「リンちゃん」


普段トキヤでは言えないことを卑怯だろうけどHAYATOで伝える


「だーい好き」


紛れもない『私』の本心
林檎さんの柔らかな髪にちゅっとリップ音を響かせ口付ける



どうか、いつか伝わりますように
そう願いを込めて



◇◆◇◆◇◆
キ ャ ラ 崩 壊 \(^o^)/
すみませんでした;;