突発的な話 | ナノ



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ある昼下がり
スミレの薔薇園の片隅でうとうとしていた時だ


「あ?お前こんなとこで何やってんだ」

「ん、あぁ…アッシュか」


先日、新たにファミリーに加わったアッシュがいた
本人は入ってないと否定しているが、素直じゃないだけだろう


「シエスタか?」

「ええ。邪魔されたけれどね」

「悪かったな!邪魔して」


シャリシャリと林檎を食べながらアッシュは私の隣に腰掛けた


「何故隣に座るの」

「別にいーだろーが」


溜め息を吐く
もう放っておこうと思い、瞼を伏せる
折角のシエスタ日和
今はいつも煩い執事もいないし、邪魔されたまま終えるなんて勿体ない


「シエル寝んのか?」

「ええ。だから邪魔しないで」

「へーへー」


暫く風がそよぎ木々が擦れる音とアッシュの林檎を咀嚼する音が辺りに響いていた

林檎と薔薇の香りが交じり、甘くどこか不思議な匂いが鼻腔を擽る


「シエル?寝てる、よな」

「………………」


アッシュの呼び掛けを無視していたらカサリと草を踏む音とアッシュが動く気配、強くなる林檎の香り


ちゅう、と辺りに響いたリップ音。唇に触れた柔らかい感触、仄かに私の唇に移った林檎の香り


「………アッシュ」

「っ、起きてたのかよ」

「なに?」

「べ、つに」


真っ赤になりながら視線を逸らすアッシュが可愛くて、ずいっと顔を近付けて問う


「じゃあなんでちゅう、したの?」

「――――ッッ」

「ね、アッシュ」

「あああもう!!!!!」


タックルの如く抱き着かれて私は地面に押し倒されて、その上にアッシュが覆い被さるようにいた


ああもう最近こんなのばっか


「アッシュ」

「うっせ。寝るぞ」

「は?」


ごろんと私を抱き締めたまま横になるから、私もアッシュの方を向くようになる


腕枕されつつ頭をぎゅうっと抱き締められて、もう片方の腕は腰に回された
足も絡み合い密着する身体


「あのさ、シエル」

「なに?」

「お前は、ずっと俺の傍にいてくれよ」


懇願するように額に落とされる口付け

私はその問いに応えることはせず、意外にも逞しく温かい林檎の香りがする腕の中で密かに口角を上げるのだった



―――――
幽霊船をプレイしてアッシュ熱が急上昇
アッシュ可愛いよアッシュハアハアあれで17歳とかああああああかわいい!!!

◇◆2012.12.31