突発的な話 | ナノ



3



「なぁ、シエル嬢」

「………」

「シエル嬢」

「………………」

「反応なしかよ」



膝上にある男の顔をチラリと見ると嬉しそうに破顔された



「可愛いなァシエル嬢は」

「お褒めに頂き光栄だな」

「ハッ全くそうには見えねーが」

「別に嬉しくないからな」

「でも、そーゆーところも可愛いと思うゼ」


肘をつき上体を起こしたデビトに、ちゅ、と軽く唇を奪われる

私はそれを無視して読書を再開させた


「つれねーなァ。シエル嬢は」


じゃあ相手してくれる女のところにでも行けと思ったが口には出さなかった
この男のことだ
嫉妬しているのかと絶対に言われる


「まぁ、いーや」


ぽすりとまた膝上に置かれる頭
これ、意外と重いんだが……


「今日はあのヤロー、いないのかヨ」

「……あぁ、セバスチャンか」


もう読書は諦めよう。全く集中が出来ない
デビトに視線を向けると私の髪を弄りながら少し不満気な顔をしていた


「いーっつもシエル嬢にベッタリなアイツが珍しいこともあるもんだ」

「私が仕事を頼んだのよ」

「ふーん、仕事ねェ?」

「えぇ。本国に帰れないから本職が疎かになってしまっているからね」


タロッコと契約してしまったばかりにレガーロ島に縛られる、なんて


クスリ、嗤ってしまう


「じゃあ今はシエル嬢の傍に、あのヤローはいないんだな」


一瞬の出来事だった
私の視界にはデビトと天井が見えて、背中には微かな痛み


あぁ、また押し倒された


「シエル嬢、」


情欲を含んだ声音、熱っぽい私と同じ片方だけの瞳、吐く吐息すら熱を持っているようで


スルリと眼帯が取られる
左目の青碧色の瞳とは異なるアメジストに輝く瞳と逆ペンタクルが姿を表しただろう


「確かに」

「、」

「今ここにセバスチャンはいないが、私が呼べば直ぐに来る」

「あ?いくらアイツでも無理だろ」

「いいえ。彼なら来るわ」

「信頼、してんだ」

「信頼?なにをバカなことを」



わらう、笑う、嗤う



「私と彼は契約で繋がっているの」



その時、アメジストの瞳が光ったように見えてデビトはぞわりと粟立つような気がした



「もしかして、アイツの手の甲にある逆ペンタクルとその瞳の逆ペンタクルと何か関係があったり、とかか?」


その質問に私は何も答えずただ笑みを浮かべるだけ


デビトは顔を歪めぎゅっと抱き着いてきた
隙間なんてないくらい、ぴったりとくっつく身体



なんとなく、本当になんとなくだけど



私もデビトをぎゅっと抱き締め返し、そっとその頭を撫でてみた



―――――
アニメを見てたら久しぶりに書きたくなりました!

ゲームもやりたくなったが、いかんせん時間が……

がんばりたいです_(X3 」∠)_


2012.07.02