突発的な話 | ナノ



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「う、そ」

「おい、トーマ何とか言えよ」

「…、……」


トーマは長い溜め息を吐く
そうだ、嘘なら良かったんだ
ずっと傍にいた、これからも傍にいると思っていた彼女にっ


「嘘じゃないよ」


トーマは思ったよりも低い声を発していた
マイとシンはぐにゃり、顔を歪める
それはトーマの低い声に怯えたからではない
原因はトーマが発した話の内容からだ



ナマエに彼氏が出来た



「うそ、だよ…だってナマエは私達の幼馴染み、」

「うん、幼馴染みだね…でもそれ以上でもそれ以下でもない」

「っ!!?」

「まぁ、当然だな…幼馴染みだからってずっと傍にいるなんて有り得ない、か」


マイとシンの言葉にトーマも顔を歪める



ずっと傍に、なんて有り得なかった
でも、望んでいるんだ


彼女が傍にいてくれることを



「で、相手は誰なわけ?」

「そ、そうだ!誰なの?ナマエの彼氏って」

「…っ……」

「トーマ?」

「…、……さん」

「は?」

「っ…イッキさん、らしいよ」

「なっ」

「はぁ!?イッキさんって、」


忌々しげに呟いたトーマに二人は驚きで目を見開く
だってそうだろう

イッキと言えば、常に女の子を周りに侍らせ目を見ると恋をしている錯覚を起こらせると言う男だ

そんな男と大切な幼馴染みが付き合っている


その目に錯覚しているのか、そう思っても仕方ないのかもしれない


「私達がナマエを守らなくちゃ!」

「そうだな…でもどうすればいいかな」

「あのさ、確かあいつの姉ってイッキさんのFCの会長だろ?」

「うん、前にナマエが言ってたよ」

「あぁ、そういうことか」

「まぁな…ナマエに嘘付くのは気が引けるけどな」


でも彼らはそんなことを言っている場合じゃなかった


ただ大切な幼馴染みを救い出さなくちゃ、その一心で


付いてはいけない嘘を付いてしまった






















「確かナマエのお姉ちゃんってイッキさんの事が好きなんだよね」

「え、」

「やっぱり妹として応援するんだろ」

「待っ」

「当たり前だろ?ナマエは優しい子なんだから」

「…っ……」





その嘘がナマエを更に追い詰める事になってしまうなんて





ナマエを考えているようで、いない彼らはただナマエに傍にいて欲しい一心だったんだ





―――――
次こそは!もう早く幸せにしてあげたい
ちょっと幼馴染み達の性格を悪くしてすみません;;


◇◆2011.11.03