突発的な話 | ナノ



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私の前に跪く一つの影
酷く滑稽な絵図だ


「要兄、私の足、そんなに美味しいの?」


ソファーに座りながら前のめりになり要兄を見下ろす
私の足を手に持ち、指の間を丁寧に舐め上げたり吸い付いたりと擽ったい
爪先にキスをしながら上目使いで私を伺い笑む要兄は、すごくエロいと思った


「うん、ふぅちゃんはどこを舐めても甘い」

「ふーん、……お坊さんがこんなことしてていいわけ?」

「妹を愛するのに坊主も何も関係ないさ」

「妹を愛する時点で間違ってるけどね」

「間違ってない」


真剣な瞳が私を射抜く
足の甲に一つ口付けが落ちた


「愛の前には血の繋がりなんて然したる問題じゃない。俺達は何も間違いなんて冒してないよ」


つ、と要兄の赤い舌が足先から膨ら脛までなぞり次の一瞬、チクリとした痛みが走る

また舌が上がってきたかと思うと今度は太股の内側に吸い付かれた


「愛してるよ、風花」

「ふ、ふふ」

「、」

「私も、要兄大好きだよ?」


だって盲目的に私をいーっぱい愛してくれるから


「ねぇ、要兄はいつだってずっと私の味方だよね」

「勿論。誓ってもいい」

「……………」

「でも仏や神には誓わない。俺が誓うのはふぅちゃんにだ」

「かなめ。じゃあ誓ってよ」


先程まで要兄の手にあった足を動かし爪先を要兄の前に持っていく

要兄は妖艶に微笑むと目の前に差し出された私の足を丁寧に手に取り撫で上げると脛に一度口付ける

唇を足に押し付けたまま動かし次いで足の甲にちゅっと音を立てキスした
そして最後に爪先にキスを落とし仕上げとばかりに舐める


「俺はいつだってずっとふぅちゃんのものだよ」

「その言葉を違えたら?」

「ふぅちゃんが俺を殺して」


即答する要兄
懇願するように、乞うように、ゆっくりと告げられる


「ふぅちゃんを一番に想わない俺なんていないほうがいい。そんな俺はいらないよ」


要兄は私の太股に顔を埋め腰に抱き着きながら優しく甘く言葉を囁く


「私は別にいいよ?要兄が他の女を愛しても」


バッと上げられる顔
驚愕に満ち悲しみと怒りと切なさに歪んだ表情

揺れる双眸には気味が悪いくらい酷く優しげに嗤う私が映っていた





―――――
キスの意味
脛は服従、足の甲は隷属、爪先は崇拝だったと思います

うーん、最後の終わり方をすっごく中途半端にしてしまった気がする
風花は要に妹相手なんて不毛な恋愛じゃなく他の女の人とちゃんと恋愛をして欲しいって思って言ったのか、ただ自分の一挙一動に振り回される兄がバカみたいで好きと思ってるのか

どっちでも萌えるが風花的には後者の方があってそう
前者では、ギャップ萌え?


◇◆2012.05.27