突発的な話 | ナノ
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廊下の向こう側に愛しい桃色を見付けて俺は駆け付ける
彼女と喋りたいのともう一つ、どうしても聞きたいことがあるからだ
「林檎ちゃん!」
「んー?あ、翔くん!どうしたの?」
相変わらず可愛らしく微笑う林檎ちゃん
頬が緩みそうになるのを抑えて真顔になる
「今度日向先生との共演でラブシーンあるってまじ!?」
「えぇ、あるわよ」
林檎ちゃんはあっさりと肯定した
もう、本当にあっけらかんと
「……………」
「翔くん?(あ、もしかして憧れの龍也とお前如きがラブシーンなんて烏滸がましいんだよって感じなのかな)」
「あのさ、」
「(それとも身近な二人がラブシーンするのが気になる複雑なお年頃?)」
「林檎ちゃんは、ラブシーンとかさ、何とも思わないのかよ」
「だって仕事だもの。翔くんもこの世界に入りたいのなら覚悟しときなさい」
困ったように笑って仕方ないとばかりに言う林檎ちゃん
分かってるさ
彼女は過去にもラブシーンを演じている
この世界なら仕方ないことだ
だけど、今度彼女とラブシーンを演じるのは日向先生
林檎ちゃんを誰よりも理解し、きっと俺達なんかよりずっと長く彼女を想っている男
俺が林檎ちゃんを巡るライバル達の中で唯一敵わないと思う憧れの人
そうだ、俺は怖いんだ
林檎ちゃんが日向先生を好きになるかもしれないのが
怖い
俺はガキだから日向先生なら、なんて考え出来ない
那月にも音也にも日向先生にだって渡したくない
そんな人だから
「翔くん?」
黙り込んだ俺を不思議そうに見つめる綺麗な瞳
俺はこの人より背も低いし年下だし身体も弱い
だけど、林檎ちゃんを想う気持ちなら誰にも負けない自信がある
「……林檎ちゃん」
そっと細い腰に腕を回し抱き寄せた
彼女は微かに身体を強張らせるが直ぐに力を抜き俺の頭を帽子越しに軽く叩く
「こーら。先生になにするの」
「林檎ちゃん」
「離しなさい」
「嫌だ」
「翔くん」
窘めるように名前を呼ばれる
でも離したくなくて、この温もりに包まれていたくて、林檎ちゃんを誰にも渡したくなくて、ぎゅっと力を強めて頬を寄せた
「全くもう」
諦めたのか溜め息を吐きポンポンと背中を撫でられる
「林檎ちゃん」
「今度はなーに?」
「まだ、誰のものにもならないでくれよ」
きっと今、俺の顔は赤く染まっているんだろう
林檎ちゃんが笑うのが分かった
「まだまだ手の掛かる生徒がいるんだから、恋愛方面まで手が回らないわ」
「……そっか」
ホッと安堵の息を吐く
「林檎ちゃん、俺林檎ちゃんが……」
「、翔くん」
「いや、なんでもない」
今度は林檎ちゃんが安堵したようだった
まだ、言うべきじゃない
振られるのは火を見るよりも明らかだ
もっともっと俺が一人前にならなくちゃいけない
子供の俺と大人の彼女
今はがむしゃらに走らなければ彼女の隣すら歩けない
「俺、絶対に誰にも負けない」
「………っ…」
「だから、待っててな」
ちゅ、と少し背伸びして林檎ちゃんの頬に口付ける
少し顔を赤らめる彼女を見て俺も少し照れた
誤魔化すように笑えば林檎ちゃんも眉を下げて笑ってくれて、やっぱりこの人が好きなんだと思い知らされる
まずは身長から伸ばさねーとな
―――――
今回の萌えポイント
背の低い男子(翔ちゃん)が自分より背の高い女の人(林檎ちゃん)に背伸びして頬にちゅーするところです<●><●>カッ!
男の子が!!!背伸びを!!!するところ!!!です!!!
個人的萌えポイントでした←
君セレ久しぶりの更新過ぎて申し訳ないです……
最近アンケで人気だったので書いてみました
久しぶり過ぎてなに書けばいいか分からなかったorz
でも翔ちゃんに背伸びさせることが出来て満足です
◇◆2012.05.21