突発的な話 | ナノ



4



ソファーに座っている彼の膝上に跨がりすり、と逞しい胸に擦り寄る
それに応えるように包み込んでくれる腕


やっぱり、この腕の中が一番落ち着く
柔らかい彼の匂いを胸一杯に吸い込んだ


「おい、擽ってぇー」

「んー…」

「お前は本当に猫みたいだな」

「にゃー?」


ぎゅっと抱き着く腕に力を入れ下から見上げるように猫撫で声を出す

私に出来る一番の可愛い顔でいたのにも関わらず棗は苦笑するだけ

ムッとしてしまう

他の兄弟達なら頬を真っ赤に染めるか顔をだらしなく緩めるかなるのに

棗だけは、いつも苦笑い
勿論私のプライドがそれを許せるわけもなく今までに色々試したが効果はなかった


「棗のばか」

「いきなりだな」


宥めるように背中をポンポンと叩かれる
子供扱いされるのは嫌いだけど棗にされるのだけは好き


「なつめー」

「どうした」

「私、可愛くない?」


私の問い掛けに暫し目をパチパチさせていたが次いでふわっと笑顔を浮かべた


「何言ってんだ…風花は可愛いに決まってんだろ」

「ふーん」

「何だ?不満か」

「べっつに」


それにしては私に誑かされない
悔しいな、


「随分余裕だよね」

「…、……」


私の言葉に棗がぴくんっと反応したと思ったら私の手を持ち上げ彼の左胸に押し付けられた

いきなりの事に驚き呆けていると、より棗は手を自身の胸に押し付ける
何だと思い、手に意識を向けるとドクドクと早鐘のように脈打つ心臓



「余裕だと思うか?」

「…………」

「余裕ぶってるだけだ」


棗の胸に押し付けられた手をもう一度棗の背中に回す

あー、忘れてた
ニヤリと口許を歪める


「そうだったね…」


クスクス笑いが漏れてしまう
棗が抱き締める腕に力を入れた

まるでその先は言うなと言うように


「だって」


その意図に気付かぬふりをし私は言葉を紡ぐ


「一番最初に私を襲ったの」


そう、私の初めてを奪ったのは


「棗だもんね」


言葉を、息を棗に奪われた
貪るような、けど決して私への気遣いを忘れぬ優しい口付け



あーぁ、なんで皆こんな狂ってる"妹"なんて好きなんだろ

熱の籠った瞳で見詰めてくる棗に心が冷える
でも熱い口付けとのアンバランスさにくらくらする


んー…、きもちーなー


やっぱり棗の身体が一番好き
逞しい腕に無骨な温かい手、男らしい胸板


身体の相性も良いし、そういう意味では大好きだなーなんて思いながら棗の首に腕を回す



彼の口付けを受け入れながら思う

新しく出来た"妹"の方が純粋で優しくて真っ白で綺麗ないい子なのに


どうして私なんだろう



ふふ、姉さんと私ってまるで『天使』と『悪魔』だな





―――――
そうです
風花の初めてを奪ったのは棗です!
それで罪悪感に苛まれて家を出たとか←
まぁぶっちゃけ風花は気にしてない
いつかそうなるだろうと思ってたから想定内だったから
でもまさか棗だとは思ってなかったけどね

ブラ★コン4巻読みました!!!棗好きだ!
なんであんなに絵麻ちゃんと絡んでるのに非攻略対象キャラなんだっ!
いや、私は信じてる!きっと棗も攻略対象になると!!
信じていますとも!←←


◇◆2011.11.25