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「芹」

「あ、なんですか?ダリアさん」

「最近読む本が無くなってしまったんだ。だから芹のお勧めを教えて貰いに来た」

「そうですか。なら今からご一緒に図書館デートなんてどうですか?」

「そうだね、エスコートは私がしよう」

「いえ、僕にやらせて下さい」

「、」

「年下だからって甘く見られては困ります」

「ははっ、じゃあエスコートは芹に任せるよ」


いくら僕がカッコ良く魅せようともダリアさんは柔らかく微笑むだけ
その微笑みが大好きなのに、それは時として何をしても無駄だと、決して僕を意識はしないと言外に言われているみたいでムカついてしまう


どうすれば男として見てもらえるか、意識してもらえるか


いくら考えても分からない問いに悔しくなる
こんなんじゃいくら頭が良くても意味がないじゃないか


「はぁー…」

「芹?」


つい、吐いてしまった溜め息にダリアさんが心配そうに顔を覗き込んできた

まるで母が子を心配する様で、容赦なく歳の差を突き付けられる

でも、


「ダリアさん」

「ん?」

「ちょっと具合が悪いので、ダリアさんの部屋で休ませて貰えませんか?」

「構わないけど、男子寮の方が近い。私の部屋じゃなくとも送って行くよ?」

「いえ…、あの、僕」

「うん?」

「…寂しいんです。」

「、」

「だから一晩だけ、ダリアさんの部屋に泊めて下さい」


きっとこれが馬鹿兄弟とかだったら即刻却下されていただろう

ダリアさんは優しいから看病はしてくれるだろうけど自分の部屋で二人きりは絶対にならない筈だ


「いいよ、おいで」

「はい、ありがとうございます」


でも僕の場合仕方ないな、とでも言うように笑みを浮かべながら頷いてくれる

年下ということと、可愛いものに意外と彼女は弱い

だから両方を兼ね備えている僕はそれを最大限に活用するんだ


向かう先を図書館からダリアさんの部屋へ

彼女の温もりに包まれて眠りたいから、後で精一杯甘えて一緒に寝てもらおう

きっとダリアさんはまた仕方ないなと笑みを浮かべて一緒に寝てくれるから












芹にお願いされて同じベッドで一緒に寝ている

これが鹿野兄弟だったら有り得ないだろう
即刻却下している


「ダリアさん温かいですね」


わざと声音を落とし内緒話でもするかのように喋り掛けてきて、ぎゅっと抱き着いてきた


分かっている


芹が具合なんて悪くないこと
私が年下や可愛いものに弱いと分かってて持っている武器(幼さと可愛さ)を最大限に使ってくること


でも芹が私に甘えてくれているのが分かるから突き放すことは決して出来ない

決して、しない

それで少しでも芹が嬉しいと感じているのならば私は、私が持つ全てを掛けて芹を甘やかす


なんて思っているから葵に「芹ばっかり!」って言われるんだろう

勿論私は芹を贔屓しているつもりはない、ないけど

まぁ、どちらにせよ今は目の前にいる芹に集中しよう


す、柔らかい髪に指を滑らせると擽ったそうに身を捩った


「ダリアさん、擽ったいっ」

「ごめん、眠れない?」

「いえ、安心します……だからもっと撫でて下さい」

「了解」


芹を抱き締めながら髪を梳く
暫くすると芹は気持ち良さげに眠っていた


それを確認して私も目を閉じる

こんな幼さが残るあどけない少年が、なんで辛い思いしなくちゃいけないんだろうね

一筋、涙が溢れた気がしたが気にせず
芹の温もりを感じながら微睡むのだった





―――――
途中で行き先を見失って明日も見えねーぜ(´;ω;`)ってなってなんか敦盛と似たような展開になって泣けた

迷子癖直そうってか方向音痴を直さなきゃ意味がない

芹視点が難しいことが分かった、誰だこれってなる…
でも負けないわ!がんばる、うん、精進しますわよ!

◇◆2011.09.29
◆◇2011.10.02 移動


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