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その日私は葵と敦盛と一緒に行動していた


「おい、クソ眼鏡!お前ヅカ女に近けーよ!」

「煩い!お前こそダリアの肩を抱くのを今すぐ止めろ」

「ならテメーも腰を抱くなっつーの!」

「……お前達、私を間に挟んで口喧嘩をしないでもらえるか」


そして凄く歩きづらい
その後も下らない言い合いが続いて私が項垂れそうになった時、ふと前方に見知った背中を見付けた


「「あ!」」


それが誰だか理解すると同時に私は二人を振り切り走り出す


「蓮華先生!」

「ん?あぁ、八重原」


私だと気付くと微かに顔を綻ばせる先生
その優しげな表情に私も自然と笑顔になった


「そういえば八重原、いい茶葉が手に入った…今から飲みに来るか?」

「勿論!蓮華先生が淹れるお茶は茶葉が何であろうと美味しくて大好きです」

「そうか……それなら良かった」


二人で和やかに微笑む、が平和な時間はそう長くは続かない


「ふっざけんな!」

「「…、……」」

「全くだ。勝手に話を決められては困るな」

「お前たち…」

「葵、敦盛、一体なんだ?私はこれから蓮華先生のお茶を飲みに行きたいんだが」


私が困った顔をすると二人はぐっと眉間に皺を寄せた


「っんだよ!そんなにソイツがいーのかよ!」

「お前は俺達といるよりソイツといた方が楽しいのかっ」

「……比べるものじゃないだろう(蓮華先生は私にとって癒しだし)」

「…っ……」

「チッ、」


それでも納得のいかない顔をする二人に湧くのは苛立ちでも、面倒だという気持ちじゃなく

愛しさなのだから、どうしようもない


「蓮華先生、折角のお誘いなんですが」

「あぁ、分かった。また誘おう」

「、」

「ありがとうございます」


蓮華先生はぽん、と私の肩を優しく叩くと去って行った
やはり大人だな、と思う

そして私達の会話を聞いていた二人は顔に喜びを浮かばせているのだが
それが悟られたくないのかムスッとした顔のままでいようとして、おかしな顔になっていた


「ははっ」

「なに笑ってんだよ!」

「失礼な奴だな」


失礼なのはどっちだ、とも思ったが二人が拗ねるのは火を見るよりも明らかだから私は別の話を切り出す


「葵、敦盛」

「あんだよ」

「なんだ?」

「お前達とお茶がしたい」

「、」

「っ」

「今から薔薇園で一緒にお茶をしないか?」

「…お前が、どーしてもって言うなら、いいぜ」

「あ、あぁ、お前がどうしもと言うなら、してやってもいい」

「そうか、ありがとう」


私が微笑むと二人は勢いよく抱き着いてきた
一瞬体勢を崩しそうになったが何とか立て直す

首元に腕を回して抱き着いている葵と腰元に腕を回して抱き着きている敦盛

そんな二人に苦笑を漏らして私もそっと彼らの男にしては華奢な背中に腕を回す

そしてポンポン、と規則的に叩いていたら落ち着いたのか二人の肩から力が抜けたのが分かった


「なぁー、ダリア」

「ん?」

「お前はさ…俺達から離れたり、しないよな」

「あぁ、勿論だ」

「絶対か?絶対だと言い切れるのか」

「言い切れる、とまでは言わないが約束しよう」

「約束だと?」

「お前達が私が必要ないと思うまで傍にいると、約束しよう」

「……………」

「不満、か?」


黙り込む二人
抱き着かれたままだから今どんな表情をしているのか伺い知れない


「(じゃあ、一生ダリアは俺達の傍からいなくならないってことっしょ)」

「(そうだな。ダリアは『絶対』に約束を守るから…今約束しておけばダリアを縛る鎖になる筈だ)」



「じゃあ『約束』な」

「『約束』だ、ずっと俺達の傍にいろ」

「……お前達が必要とする限り、な」

「んじゃ、誓いのキスってことで」


―――ちゅ。


左頬に感じた柔らかい感触
それが葵の唇だと気が付いた時には敦盛も同じことをしていた


「俺も、誓いの口付けだ」


―――ちゅ。


今度は右頬に柔らかい感触
あぁ、全くこの兄弟は…!
似なくていい所ばかり似て!


「ほーら、今度はダリアの番だろー」

「さっさとダリアも誓いの口付けを俺達にしろ」

「はぁー…分かったよ全く」


ちゅ、ちゅ、とそれぞれの頬に軽くキスをする
そしたら葵と敦盛は幸せそうに微笑みぎゅっと私の手を握ってきた



だから許してしまうんだ
こんな顔を見せられては許すしかない



「そろそろ行くか」

「あー、そうだな。早くダリアが淹れた茶、飲みたい」

「おい、チョコレートはあるか?」

「ほんっとクソ眼鏡はチョコばっかだな」

「クソ眼鏡言うな!」


また私を挟んで始まった下らない口喧嘩
私の肩と腰を抱く腕

だけどそれが楽しいだなんて完全に毒されている私がいた





―――――
いみぷー(゚ε゚#)←
芹も藤先生も侘助もなずなも書いてないのに既に書いた二人を書くなんて、私、私!!
しかも雪柳先生はちゃんと書いたのに、蓮華先生ちょこっとしか出てきてないし蘇芳先生に至っては書いてすらいないし

すみませんほんっとすみません

あと因みにダリアの二人を愛しいと思う気持ちは子供への想いみたいなものです
勿論デート倶楽部の皆にも思っていることなので二人だけが特別って訳じゃありません
説明しないとよく分からない小説ですみません!

◇◆2011.09.29
◆◇2011.10.02 移動


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