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「ダーリアちゃん」


後ろから掛けられた声に、ゾクリ、身体が反応する
でも今の私は『八重原ダリア』だ

演技は完璧でなければならない、だから相手に気付かれたりはさせない


「雪柳先生、どうされました?」

「ううん、ダリアちゃんが見えたから声掛けちゃった」


にこり、人懐こそうな笑顔を見せる彼だが内心、何を考えてるか分からない

前世も合わせ今まで生きてきた中で一番、怖いと思う人


「そうですか。用がないなら私はもう行かせてもらいます」

「えぇー…少しお話しようよ!」

「……お仕事は?」

「もう終わったよー」

「…、………」

「この前ダリアちゃんが美味しいって行ってたお菓子もあるんだ、ね?だから一緒に行こ」


そっと手を取られ、エスコートされる
何時も女性相手に私がしてる行為を男性にされているせいか、それとも恐怖心を持っている雪柳先生にやられているせいか

ドクドク、嫌なくらい心臓が鳴ってしまっていた


「あれ、和弥くんいないや」


いつの間にか理事長室に着いていたらしく、雪柳先生は辺りを見回す

蓮華先生は私がデート倶楽部唯一の女子生徒だからか色々と気にかけてくれている
一見怖く見えるがとても優しい先生だ
よく一緒にお茶をしている、私にとって唯一甘えられる人


「まっ、和弥くんいなくてもいーや(……彼がいたらダリアちゃん、そっちにべったりになるし)」

「、?」


ボソッと何か言ったように聞こえて雪柳先生を見ると彼は相変わらず人好きしそうな笑顔を浮かべていた


「ほらほら入って!今日は僕がお茶淹れるね。和弥くんには劣るかもだけど」

「いえ、雪柳先生が淹れるお茶も好きですよ」

「えー、本当に?」

「えぇ、甘味が強いけれど好きな味です」


素直な感想を言うと雪柳先生はにやり顔で笑う


「あー、分かっちゃった?」

「……?」

「それはね隠し味に僕の愛をたーくさん入れてるからです」


この人の、愛?
ダメだ…この人に関してだけはどうも不信の念を抱いてしまう

一瞬毒でも入ってるのかと思ったが今まで味や香りに毒物の類いは感じられなかった


「はい、どうぞ」


かちゃり、目の前に出されるカップ
甘い香りを漂わせ、湯気がゆらゆらと揺れている


「、」


考えても分からないんだから仕方ない

一口、飲む

相変わらず甘味が強い、彼独特の紅茶


「どう?」

「えぇ、何時も通り美味しいですね」

「良かった!」


やはり、彼の笑顔は何を考えてるか分からない
真意を探ろうにもその笑顔の下に隠されてしまう


「ほらこれダリアちゃん美味しいって言ってたでしょ」

「随分前に一度、よく覚えていますね」

「えへへー、まーね!ダリアちゃんのことだし」

「え?」

「何でもないよ!食べて食べて」


随分前に言った美味しいの一言を覚えているなんて、
そこもまた、女子生徒に人気の一つなのかな
なんて一口、また一口好きなお菓子を食べつつ思った














ねえ、ダリアちゃん?
君は覚えてないかもしれないけど僕がダリアちゃんの為に初めて淹れた紅茶を君は凄く、それこそ僕の淹れる紅茶以上に甘やかな顔で飲んでいたんだ


何がそうさせたか分からない
だけどその表情が見たくて、好きで、甘い紅茶を作るのが癖になっちゃったんだ


お菓子もダリアちゃんだから覚えている
君が好きなものはいつでも用意出来るように頭の中に刻み込んでいるんだよ


それくらい大好きで大好きで大好きで大好きで、しょうがない


けど、一つ気掛かりなことがあるんだけどさ
僕、ダリアちゃんに嫌われてるのかなーって

まだ少し警戒されてるような気がする
出来るだけ人好きしそうな笑顔で接してるのに、誰よりも優しく接してるのに

ちょっと…ううん、すっごいショック


でもいいんだ


僕への警戒だって直ぐに解いてあげるから

今はデート倶楽部で遊んでても、デート倶楽部の面々と仲良くしてても

それはそれで楽しいし面白い

だから許してあげる



それにお姫様は王子様とハッピーエンドって決まってるでしょ?

僕が王子様でダリアちゃんがお姫様

うん、ぴったり!


デート倶楽部の面々も学園の生徒も教師も

全部、ぜーんぶ王子様(僕)とお姫様(ダリアちゃん)をくっ付ける為の駒なんだから





―――――
最初に謝ります
すみませんでした(土下座)

現在03:07
眠いわけだェ…

取り敢えず寝て起きたら修正してうpしまふ(´=ω=`)

◇◆2011.09.28
◆◇2011.10.02 移動


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